発達が気になる子の受診・療育の勧め方|個人面談の声かけ例15

個人面談で使える受診・療育の勧め方 15の声かけ例

「受診を勧めたけれど、その後どうなったのか聞けていない」

「療育の話をしたら、保護者の表情がかたくなった」

個人面談を前に、こんなことが気になっていませんか。

発達が気になる子の受診や療育を勧めても、すぐに動ける家庭ばかりではありません。
動けないのには、たいてい理由があります。

この記事では、保護者が相談に進めない4つの理由と、理由ごとの声かけ例をお伝えします。

記事の最後に、面談でそのまま使える声かけ15の一覧を載せています。
面談の前に、ここだけ見返せるようにしています。

理由と声かけ例の前に、なぜ医療や福祉とつながるとよいのかを、短く整理しておきます。

・子どもの困りごとの背景を、専門の立場から一緒に考えてもらえる
・家庭と学校のほかに、相談できる相手ができる
・必要に応じて、療育や福祉のサービスを使えることがある
・保護者が共有してくだされば、学校での支援を考える手がかりも増える

保護者に伝えるときも、「病院に行くこと」そのものより、「お子さんのことを一緒に考えてくれる人が増える」ことを中心に話します。

目次

相談に進めない4つの理由と、理由別の声かけ例

止まる理由は家庭ごとに違う 相談に進めない4つの理由

「勧めたのに、動いてくれない」

そう感じたときは、先に理由を考えてみてください。
よくあるのは、次の4つです。

・何を話せばいいのか分からない
・医師の説明が難しかった
・どこに相談すればいいのか、相談先やサービスをどう使えばいいのか分からない
・受診そのものが不安

どれも、保護者がわが子のことを考えていないからではありません。

初めての場所に、初めての相談をしに行く。
しかも、わが子のことです。

足が止まるのは、自然なことです。

22年間、特別支援学級の親子と関わってきて、止まる理由は家庭ごとに違うと感じています。

止まっている理由が分かると、かける言葉が変わります。

ぷーた

「なかなか動いてくれない」ように見えていた保護者が、実は「何を話せばいいか分からなかった」から、ということもあります。

面談では、まず「前にお話しした相談のこと、その後いかがですか」と聞き、どこで止まっているのかを探ります。
理由が見えたら、その理由に合う言葉を選んでください。

保護者面談そのものの悩みは、こちらの記事にまとめています。

面談でそのまま使える 理由別の声かけ例

理由1:何を話せばいいのか分からない

面談で学校での様子を一緒にメモに書き出す手元

受診や相談の場では、保護者が限られた時間で子どものことを伝えることになります。
「何から話せばいいのか」で、止まってしまうことがあります。

そんなときは、学校での様子を一緒に整理します。

  • 「学校で気になっている場面を、メモにしてお渡ししましょうか」
  • 「お家で気になっている場面も、一緒に書き出してみませんか」
  • 「メモを見せるだけでも、伝わりやすくなると思います」

メモに書くのは、診断名や見立てではありません。
「いつ・どこで・何があったか」の事実です。

❌「落ち着きがありません」
✔「授業中、10分ほどで席を立つことが多いです」

事実だけなら、保護者も受け取りやすくなることが多いです。

理由2:医師の説明が難しかった

医師の説明の書類を見ながら考える保護者

受診はしたけれど、説明がよく分からなかった。
そのまま、次の予約をためらっていることもあります。

  • 「お話しできる範囲で、お医者さんから言われたことを教えていただけますか」
  • 「分からなかったことを、次に聞けるようにメモしておきませんか」
  • 「学校で気をつけてほしいことがあれば、教えてください」

以前、保護者の方から「お医者さんの話がよく分からないので、一緒に来てほしい」と頼まれたことがあります。

このように声に出してくださる方ばかりではありません。
説明が難しいと感じていても、言い出しにくい方もいます。
こちらから聞いてみることで、困っていることが見えてきます。

お医者さんからのお話を聞くときに気をつけたいのは、先生が診断名を口にしないことです。

保護者が話してくれた言葉を、そのまま受け取ります。
先生の側から言い換えたり、決めつけたりしません。

理由3:どこに相談すればいいのか分からない

いくつもの相談先を前に、どこへ行くか考える保護者

相談先は、いくつもあります。
かかりつけの小児科、市区町村の相談窓口、教育相談、療育や福祉のサービス。

名前も仕組みも、地域によって違います。
だからこそ、保護者には分かりにくいのです。

  • 「どこに相談するか、一緒に考えてみませんか」
  • 「学校の特別支援教育コーディネーターにも聞いて、お伝えしますね」

相談先や手続き、療育や福祉のサービスの使い方は、自治体によって違います。
担任が「ここに行けば大丈夫」と言い切らず、特別支援教育コーディネーターや管理職と確かめてから伝えます。

理由4:受診そのものが不安

建物の入口の手前で立ち止まる親子の後ろ姿

「病院に行ったら、何か言われるのではないか」
「行くと決めたら、それを認めることになる気がする」

不安が大きいときは、受診の話を急がないことです。
先に、気持ちを聞きます。

  • 「受診のこと、どんなふうに感じていらっしゃいますか」
  • 「急がなくて大丈夫です。次の面談で、またお話ししましょう」
  • 「初めての場所は、どなたかが一緒の方が安心ですか」

同行できるかどうかは、学校の決まりや勤務の都合によります。
この質問をする前に、管理職と確かめておきます。

ぷーた

「一緒に行きますよ」は、やさしい言葉です。でも、先に言うと「行くことが決まった」と受け取る方もいます。望むかどうかを、まず聞いてみてください。

学期に1回「相談できましたか」と確かめる

目安は学期に1回 「相談できましたか」の聞き方

一度勧めて終わりにしないことも、大切です。

とはいえ、会うたびに聞くと、保護者はせかされているように感じることがあります。
目安は、学期に1回ほど。
面談や連絡の機会に合わせて確かめます。

「相談できましたか」の聞き方

いきなり結果を聞くより、前の話をふり返るところから入ります。

  • 「前にお話しした相談のこと、その後いかがですか」
  • 「相談できましたか」
  • 「予約のことで、何か困っていることはありますか」

相談先によっては、予約まで時間がかかることもあります。
答えが「まだです」でも、せかす言葉は返しません。

❌「早く行った方がいいですよ」
✔「教えてくださってありがとうございます。学校でお手伝いできることがあれば、言ってくださいね」

「まだです」と言える関係があれば、次の一歩を一緒に考えられます。

気をつけたいこと|せかさない・決めつけない

面談の前に、次の4つを確かめておきます。

  • 受診をせかす言い方をしない(「早く」「今のうちに」)
  • 先生が診断名を口にしない
  • 一緒に行く話は、望むかどうかを先に聞く
  • 相談先を「ここに行けば大丈夫」と言い切らない(地域で違う)

体験から|受診への同席をお願いしたときのこと

保護者が不安なときの付き添いとは別に、学校での様子を伝えるための同席もあります。

以前、学校で見ている様子が、受診の場では十分に伝わっていないのではと感じたことがあります。

そこで私から保護者に、「受診に同席して、学校での様子をお伝えしたいです」とお願いしました。
けれど、同席は見送りになりました。

同席が難しいときは、学校での様子を「いつ・どこで・何があったか」の形でメモにまとめ、保護者の了承を得て、受診のときに医師へ渡してもらう方法もあります。

担任一人で抱え込まない

受診や療育の話は、担任一人で進めるものではありません。

  • 学年の先生:面談の前に、話す内容を共有しておく
  • 特別支援教育コーディネーター:相談先や校内の手続きを確かめる
  • 管理職:学校としてどこまで伝えるか、同行できるかを相談する

面談で話したことは、日付と内容を短く記録しておきます。
受診や診断に関わることを次の担任へ引き継ぐときは、学校の決まりに沿って、保護者の了承を確かめてからにします。

ぷーた

一人で抱えると、つい急ぎたくなります。チームで見ていれば、保護者のペースを待てます。

家庭とのやりとりが続かないときは、こちらの記事も参考にしてください。

受診・療育の勧め方のQA(担任向け)

様子見・診断名・通常学級 受診・療育のよくある質問

面談の前によく出る質問を、4つまとめました。

保護者が「もう少し様子を見たい」と言ったら?

その気持ちを受け止めます。そのうえで、様子を見る期間と、次に話す時期を一緒に決めておきます。学校での様子は記録を続け、次の面談で事実として伝えます。

保護者から「何かの障害だと思いますか」と聞かれたら?

「ご心配ですよね。私は診断をする立場ではないので、お答えはできないんです。学校で見えていることなら、お伝えできます」と答え、学校での様子(いつ・どこで・何があったか)を伝えます。

担任から受診を勧めてもいいのでしょうか?

学校によって考え方や決まりがあります。話す前に管理職や特別支援教育コーディネーターと相談し、学校として伝える形にすると安心です。

この声かけは、通常学級の担任でも使えますか?

使えます。通常学級では、話す前に特別支援教育コーディネーターに相談するところから始めてください。

まとめ|面談で使える声かけ15

面談の前に見返す 声かけ15の一覧

保護者が動けないのには、理由があります。
理由が分かれば、かける言葉が変わります。

面談の前に、この一覧を見返してみてください。

場面声かけ
何を話せばいいのか分からない1. 学校で気になっている場面を、メモにしてお渡ししましょうか
2. お家で気になっている場面も、一緒に書き出してみませんか
3. メモを見せるだけでも、伝わりやすくなると思います
医師の説明が難しかった4. お話しできる範囲で、お医者さんから言われたことを教えていただけますか
5. 分からなかったことを、次に聞けるようにメモしておきませんか
6. 学校で気をつけてほしいことがあれば、教えてください
どこに相談すればいいのか分からない7. どこに相談するか、一緒に考えてみませんか
8. 学校の特別支援教育コーディネーターにも聞いて、お伝えしますね
受診そのものが不安9. 受診のこと、どんなふうに感じていらっしゃいますか
10. 急がなくて大丈夫です。次の面談で、またお話ししましょう
11. 初めての場所は、どなたかが一緒の方が安心ですか
学期に1回の確認12. 前にお話しした相談のこと、その後いかがですか
13. 相談できましたか
14. 予約のことで、何か困っていることはありますか
15. 教えてくださってありがとうございます。学校でお手伝いできることがあれば、言ってくださいね

まずは学期に1回、前の話をふり返り、「相談できましたか」と聞くところから。
一人で抱えず、学年の先生やコーディネーター、管理職と一緒に進めてください。

学校と医療機関の連携のしかたは、別の記事でまとめる予定です。

特別支援学級担任向け公式LINEでもらえる7大特典プレゼントの案内
特別支援学級の担任に特化した教員コーチ・ぷーたの公式LINE登録方法
特別支援学級の担任に、7大特典を無料でお渡ししています

公式LINEのQRコード

\ 年間計画案テンプレ・実態把握チェックリストなど7点 /

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次