「通級と特別支援学級、どちらがいいですか」
就学相談の時期になると、必ず聞かれる質問です。
お子さんのことを毎日見ているからこそ、迷う。当たり前だと思います。
ただ、この質問に「こちらです」と即答できたことは、私は一度もありません。
はじめに、正直にお伝えしておきます

私は小学校の教員を25年、そのうち22年を特別支援学級の担任として過ごしました。
ですが、通級の担任をしたことはありません。
ですので、通級の教室の中で毎日どんなやりとりがあるのか、担当の先生が何を大事にしているのか、私は自分の言葉では語れません。そこは、通級の先生に聞いていただくのがいちばん確かです。
この記事に書けるのは、支援学級の担任として、迷っている保護者と何度も話してきた立場から見えていたことです。
制度の一覧表なら、文部科学省やお住まいの教育委員会のページのほうが正確です。ここでは、表には出てこない話をします。
迷ったとき、私が見ていた3つのこと

制度の比較表には出てこない話です。順番に3つ、お伝えします。
① 実際に分かれるのは、知的な遅れがあるかどうか
制度の説明を読むと、対象になる障害の種類がいくつも並んでいます。
でも、就学相談の場で実際に話が分かれていくのは、多くの場合ここでした。
知的な発達に遅れがあるかどうか。
遅れがある場合、通級ではなく特別支援学級が候補になることがほとんどです。通級は「通常の学級で学びながら、苦手なところを別の時間に補う」仕組みなので、日々の授業そのものが難しい状態だと、補いきれないからです。
⚠️ ただし、これは「入り口の話」です。知能検査の数値や診断名だけで就学先が決まるわけではありません。実際には、園や家庭での様子、本人の困り方、保護者の希望を合わせて話し合います。数字だけで決まると思わないでください。

② 支援を受ける時間は、思っているより少ない
ここは、意外と知られていないところだと思います。
私が勤めていた地域では、通級で指導を受けるのは週2回程度でした。
⚠️ 回数や時間は地域やお子さんの状態によって違います。お住まいの地域ではどうなのか、就学相談のときに必ず確認してください。
いずれにしても、残りの時間は通常の学級で過ごします。
つまり、1週間のうち支援を受けている時間は、ごく一部ということになります。
そうすると、どうなるか。
成長の変化が、なかなか見えてきません。
支援学級のように毎日その子に合わせた関わりを積み重ねる形と比べると、どうしても変化のスピードが違います。「通級に通っているのに、あまり変わらない気がする」と感じる保護者の方がいらっしゃいますが、それは保護者のせいでも、お子さんのせいでも、通級の先生のせいでもありません。時間の量が違うのです。
だからといって、通級がよくないという話ではありません。
支援の量が多ければいい、というものでもないからです。それが次の話につながります。
③ 友達関係がうまくいっているなら、通常の学級のままがいい
これは、私がいちばん大事にしている考え方です。
お子さんが今、友達との関係でうまくいっているのなら、通常の学級のままがいいと私は思っています。
理由はひとつです。
子どもは、人との関わりが濃いところで伸びるからです。
友達がいて、一緒に笑って、ときどきぶつかって、また遊ぶ。その中で覚えていくことは、大人が教えられることよりずっと多い。楽しく過ごせている場所から離すことには、慎重でありたいと思っています。
学習の面だけを見れば、支援を厚くしたほうがいいように見えることがあります。でも、その子が毎日を楽しく過ごせているかどうかは、それと同じくらい大事です。
⚠️ これは交流学級の考え方でも同じです。支援学級に在籍していても、友達との関係がうまくいっているなら、交流の時間を大切にしたほうがいい。私はそう考えています。
逆に、友達との関係で毎日つらそうにしている、教室にいること自体が苦しそうだ——そういう場合は、環境を変えることを前向きに考えていいと思います。
決める前に、やってみてほしいこと

見学では、設備ではなく「関わり」を見る
就学相談で見学に行くと、つい教室の広さや教材、支援員さんの人数に目が行きます。
もちろん大事な情報です。
ただ、私がおすすめしたいのは、そこにいる子どもたちの表情と、子ども同士の関わりを見ることです。
- 子ども同士で話しているか
- 先生と子どもの距離はどうか
- 困ったとき、その子はどうしているか
うちの子がここにいたら、どんな顔をしているだろう。
そう思いながら見ると、パンフレットからは分からないことが見えてきます。
それでも決められないとき

決められなくて当然だと思います。
私も、22年間で「これが正解でした」と言い切れたことはありません。
ひとつだけお伝えしたいのは、一度決めたら変えられない、ということはないということです。
入学してから様子を見て、話し合って、変えていくことはできます。地域によって手続きは違いますが、途中で学びの場を変えたお子さんを、私は何人も見てきました。
いま完璧な選択をしなければ、と思いつめないでください。

通級と特別支援学級のQA(保護者向け)

- 通級と特別支援学級、両方使うことはできますか。
-
できません。通級による指導は、通常の学級に在籍している子が対象だからです。特別支援学級に在籍しながら通級も利用する、という形は取れません。どちらかを選ぶことになります。
- 知能検査の数値がいくつなら支援学級ですか。
-
「この数値なら支援学級」という全国共通の線はありません。数値は判断材料のひとつで、園や家庭での様子、本人の困り方、保護者の希望を合わせて話し合って決めます。
- 途中で変えることはできますか。
-
できます。実際に、学年が上がってから学びの場を変えたお子さんを何人も見てきました。手続きや時期は地域で違うので、担任や教育委員会にご相談ください。
- 通級のことをもっと詳しく知りたいです。
-
私は通級の担任をしたことがないので、教室の中の詳しいことはお答えできません。見学に行かれるとき、通級の先生に直接聞いていただくのがいちばん確かです。
通級と特別支援学級で迷ったときのまとめ

実際に話が分かれていくのは、知的な発達に遅れがあるかどうかです。ただし、これは入り口の話でしかありません。検査の数値や診断名だけで就学先が決まるわけではないということは、覚えておいてください。
通級で支援を受ける時間は、思っているより少ないと思います。私が勤めていた地域では週2回程度でした。だから変化はゆっくりに見えます。それは、お子さんのせいでも先生のせいでもありません。
そのうえでお伝えしたいのは、お子さんが今、友達との関係でうまくいっているのなら、通常の学級のままがいいということです。子どもは、人との関わりが濃いところで伸びます。見学に行かれるときは、設備よりも、そこにいる子どもたちの表情と関わりを見てきてください。
そして、一度決めたら変えられない、ということはありません。入学してから話し合って変えていくことはできます。いま完璧な選択をしなければ、と思いつめないでください。
どちらを選んでも、お子さんを大切に思う気持ちは変わりません。
迷っている時間そのものが、お子さんのことを真剣に考えている時間です。
お子さんのことで、迷っていませんか。
記事を読んでも「うちの子の場合はどうなんだろう」が残ることがあります。それは当然で、記事に書けるのは一般的な見方までだからです。
お子さんの様子を聞かせていただければ、小学校の特別支援学級で22年間見てきた中で、どう見えるかをお話しできます。初回60分は無料でご相談いただけます(公式LINEにご登録の方限定)。2回目以降は16,500円(税込)です。
私が答えを決めることはしません。決めるのはあなたです。判断の材料をお渡しするだけです。
※2回目以降は有料のご相談となります。詳しくは下記ページをご覧ください。


