就学時健診の通知が届いた、秋の夕方。
封筒を開けたまま、台所で手が止まる。
園の先生には「もう少し、様子を見ましょうか」と言われた。
でも、何をどう見ればいいのかは分からない。
普通級と支援級、どちらがいいのか。調べるほど、迷いが深くなる。
迷うのは、真剣に考えているからです。
そんな秋のために、保護者向けの本を書きました。
『普通級? 支援級? 発達が気になる子の小学校入学』(Kindle)です。
この記事では、本の中身と、どんな家庭に向いているかを、著者の私自身がご紹介します。
記事の後半では、本の読者特典「5つのシート」と、その受け取り方も紹介します。

就学先を決める立場ではなかった私が、この本を書いた理由

こんにちは、ぷーたです。
22年間、特別支援学級の親子と関わってきました。いまは、特別支援学級の先生方のコーチをしながら、発達が気になるお子さんを育てている保護者の方の相談も受けています。
最初に、正直に書いておきます。私は、就学先を決める人ではありませんでした。
就学調査員として、お子さんの様子を見に行ったことはあります。けれど、就学相談の窓口にいたわけではありませんし、どの学級にするかを決める立場でもありませんでした。
私がいたのは、学校の中です。就学先が決まったあとに入ってきた子と、そのご家族の毎日を、いちばん近くで見てきました。
私のいた自治体では、担任は「こちらの学級が向いています」と言ってはいけない、と指導されていました。思いきって先生にたずねても、はっきりした答えが返ってこないことがあります。あれは、先生が冷たいのではありません。言えない立場にいるのです。
だからこの本は、制度の解説書でも、一家庭の体験記でもありません。
入学したあと、その子の毎日が実際にどうなるのか。それを、受け入れる側から書いた本です。
この本を書いた理由は、1つです。入学したあとの毎日を知っている者だから、決める前のご家庭に渡せるものがある。そう思ったからです。
普通級か支援級か迷うとき、先に知っておきたい3つのこと
迷っているいま、先に知っておいてほしいことを、本の中から3つだけ書きます。
学びの場は、2つではなく4つあります
小学校で学ぶ場は、「普通級か、支援級か」の2つではありません。通常の学級(普通級)、通級による指導(通級)、特別支援学級(支援級)、特別支援学校の4つです。
この4つは、上から順に並んだ階段ではありません。考えたいのは、「この子は、どこでなら毎日を過ごしやすいか」です。
同じ「支援級」という名前でも、朝の会で何をするか、交流学級にどのくらい行くかは、学級ごとに違います。だから、学級の名前だけでは選べません。本では、支援級の一日の流れや、交流学級への出方(全部出る・途中で戻る・給食だけ行く など)を、学校の中から書きました。
決めるのは教育委員会。でも、家での様子も手がかりになります
就学先を最終的に決めるのは、市区町村の教育委員会です。その前に、医師や心理の専門家、学校の先生などが集まる会議で話し合われます。
2013年に学校教育法施行令が変わり、本人と保護者の意見を最大限に大切にして、保護者と教育委員会、学校が話し合い、考えをそろえていく(合意形成)ことが原則になりました。
そして、判定のもとになる調べごとには、家での様子や園での様子も入ります。その手がかりを集められるのは、お子さんのいちばん近くにいるご家族です。
6歳で、一生は決まりません
「一度支援級に入ったら、もう戻れないんでしょう?」
そう心配される方は、たくさんいます。
学校の中にいた私が見てきたのは、少し違う景色でした。学びの場は、どちらの向きにも動きます。支援級から通常の学級に戻った子もいますし、通常の学級から移ってくる子もいます。中学校に上がるときにも、もう一度考える場面がやってきます。
文部科学省の「障害のある子供の教育支援の手引」にも、就学先は固定したものではなく、決まったあとも学びの場を変えられる、と書かれています。
ただし、いつも希望どおりになるとは限りません。進め方は自治体によって違い、話し合いの結果、希望と違う形になることもあります。本では、そのことも隠さずに書きました。

『普通級? 支援級?』に書いたこと

この本は、就学先の答えを出す本ではありません。就学相談の席に持っていく手がかりをそろえる「作戦ノート」として書きました。4コマのマンガと図解を入れ、章の終わりにはまとめを置いています。
章ごとに分かることは、次のとおりです。
- 第1章 「支援級を勧められた」は「決まった」ではないこと。診断がなくても、就学相談は使えること
- 第2章 4つの学びの場の違いと、支援級の一日。交流学級の実際
- 第3章 診断名がなくても書ける「1行記録」と、入学後の一日を7つの場面で思い描く紙
- 第4章 自治体ごとに違う呼び名・窓口・日程・提出物の調べ方と、就学カレンダー
- 第5章 見学で見るのは「変わらないもの」。通学路と、見学で見る5つ。お願いの伝え方
- 第6章 就学時健診で何をするのか。心配があるときの動き方と、面談で渡す「わが子説明書」
- 第7章 学級を決める前に、「うちの方針」を1枚に書く。ご家族の中で意見が分かれたとき
- 第8章 入学後30日・90日の振り返りと、担任の先生への伝え方。学びの場を見直す道すじ
- 第9章 よく聞かれる5つの質問(戻れる?/健診で言われたら/いじめや「かわいそう」/家族と話が進まない/診断)
本の中には「9つの作戦」を書きました。全部やらなくて大丈夫です。気になったものから、1つだけで十分です。
順番どおりに読まなくてもかまいません。気持ちがつらいときは第1章だけ、見学の日が近い方は第5章から開いてください。
Kindle Unlimitedに入っている方は、追加料金なしで読めます。
この本が向いている家庭、向いていない家庭

向いているのは、こんな方です。
- 年長で、就学相談や就学時健診が目の前にある
- 園で「様子を見ましょう」と言われて、次に何をすればいいか迷っている
- 支援級を勧められて、気持ちが追いつかない
- 診断がなく、相談していいのか迷っている
- ご家族の中で意見が分かれている。または、ひとりで決めることになりそう
- 年中・年少のうちから、少しずつ準備を始めたい
向いていないのは、こんな方です。
- 「うちの子はこっち」と、答えを出してほしい(この本は答えを出す本ではありません)
- お住まいの自治体の締め切りや書類を、そのまま知りたい(自治体ごとに違うため、本に書いたのは調べ方です)
- 希望どおりの学級に入るための方法を探している(話し合いで決まるので、お約束はできません)
- 診断や医療について詳しく知りたい(医療のことは、かかりつけの先生や病院へ)
ぷーた「私のいた自治体では」と書いたところは、その地域での運用です。呼び名も日程も進め方も、自治体によって違います。お住まいの地域のことは、本の第4章の調べ方で確かめてください。
読者特典「5つのシート」(本の巻末から受け取れます)
本を読んでくださった方に、本の中で使うシートを、印刷してそのまま書き込める形でお渡ししています。全部無料です。
① 就学準備の1行記録シート(第3章)
② 自治体の確認シートと就学カレンダー(第4章)
③ 通学路を歩く日のシートと、学級見学の日のシート(第5章)
④ わが子説明書(第6章)
⑤ うちの方針シート(第7章)
受け取り方は、本の巻末「読者特典 5つのシート」に書いています。そこから公式LINE「うちの子作戦会議」に登録すると、メールアドレスをうかがうメッセージが届き、そのアドレスへ5つまとめてお送りします。
すでに公式LINE「うちの子作戦会議」に登録している方は、トーク画面の下のメニュー「特典を受け取る」から受け取れます。
④の「わが子説明書」は、就学相談の面談で担当の方に渡すA4の1枚です。得意なこと/こうすると落ち着きます/困ること、の3つだけを書きます。話すのが苦手でも、この紙が代わりに伝えてくれます。
今日からできる、いちばん小さい一歩
本を開く前でも、今日からできることが1つあります。お子さんの困りごとを、1行だけ記録することです。
❌「なんとなく、毎日大変」
✔「○/○(朝)/家の玄関/靴下をはくのを嫌がって寝転ぶ/週に4回」
書くのは「いつ・どこで・何に困ったか・週に何回」の4つです。今日は「いつ・どこで・何に困ったか」の3つが入っていれば十分です。「週に何回」は、あとから足せます。
2〜3週間ためると、毎日のように感じていたことが実は週に4回だった、困りごとが朝だけに集まっていた、ということが見えてきます。
就学相談で「家ではどうですか」と聞かれたとき、記憶ではなく、記録で答えられます。「困っています」より「朝の着替えのときに、週に4回、玄関で寝転んでいます」のほうが、相手に届きます。
紙に書くのがしんどい日は、スマートフォンの音声メモで10秒吹き込むだけでもかまいません。書けない日は、飛ばしてかまいません。
もう就学時健診の通知が届いている方へ
先にお伝えします。まだ、間に合います。
就学時健診の日に「心配なことがあります」と伝えることもできますし、その日をすぎてからでも、窓口に電話できます。相談の受付が終わっていたとしても、入学の前に話す場は残っています。入学してからだって、見直せます。
電話で何を言えばいいか分からないときは、この一言で足ります。
「就学相談をお願いしたいです」
窓口にいるのは、その仕事を専門にしている方です。うまく説明できなくても、たいていはそこから先を案内してもらえます。
「もっと早くから動いていればよかった」と感じている方へ。いまが、いちばん早い日です。
『普通級? 支援級?』のQA
- Kindle端末を持っていなくても読めますか。
-
読めます。スマートフォンやタブレットに、無料のKindleアプリを入れれば読めます。Kindle Unlimitedに入っている方は、追加料金なしで読めます。
- 診断がなくても、役に立ちますか。
-
役に立ちます。就学相談は、診断のある子のためだけのものではありません。「園でこう言われた」「家のこの場面が心配だ」。入口は、それで足ります。本の中で作る1行記録の紙にも、診断名は書きません。書くのは、わが子が「いつ」「どこで」「何に」困っているかです。
- 紙の本はありますか。
-
今は電子版(Kindle)のみです。章の終わりのメモの問いは、ノートやスマートフォンに書き出す形にしています。書き込める紙がほしい方には、読者特典の5つのシートを、印刷できる形でお渡ししています。
- もう判定が出ています。今から読んでも遅くないですか。
-
大丈夫です。そろえた手がかりは、学級見学でも、入学してからの話し合いでも役に立ちます。本の第8章では、入学後30日・90日の振り返り方や、担任の先生への伝え方、学びの場を見直す道すじを書いています。
『普通級? 支援級?』のまとめ
・学びの場は4つ。「どこでなら毎日を過ごしやすいか」で考える
・決めるのは教育委員会。家での様子も、判定の手がかりになる
・6歳で、一生は決まらない。入学してからも見直せる
・見学で見るのは、通学路のような「変わらないもの」
・今日の一歩は、1行の記録から
本を読んでも、決めきれないことはあります。そのときは、お子さんの様子を一緒に整理する個別相談もあります。迷っている段階でのご相談も、お受けしています。
お子さんのことで、迷っていませんか。
記事を読んでも「うちの子の場合はどうなんだろう」が残ることがあります。記事に書けるのは、一般的な見方までだからです。
お子さんの様子を伺い、22年間、親子と関わってきた経験をもとに、一緒に整理します。決めるのは、おうちの方です。判断の材料をお渡しします。
初回60分は無料です。
お申し込みには公式LINEへのご登録が必要です。
お申し込みのあとに登録ボタンが表示されます。
内容を詳しく見てから決めたい方はこちら










