「もう終わりって言ったでしょ!」
一日に何回、言っているでしょう。「あと5分」が、何度もくり返される。声をかけても、聞こえていない。無理やり終わらせると、大荒れになる。
ぷーたそして、こう思う日が来ます。「もう、取り上げるしかないのかな」——その気持ち、よく分かります。
でも、ちょっとだけ待ってください。取り上げるのは、いつでもできます。その前に、試せることがあります。
この記事では、ゲームをやめられない理由と、取り上げる前に家で試したい5つのことを、そのまま使える声かけと一緒にまとめます。
ゲームをやめられないとき、先に知っておきたい3つのこと


具体的な方法の前に、土台になる3つのことをお伝えします。ここが分かると、どの工夫を選ぶかの手がかりになります。
目指すのは「やめさせる」より「自分で終われる」
いきなり「ゲームをやめさせる」を目指すと、毎日が戦いになりがちです。大事にしたいのは、その手前。
- 声をかけられたら、区切りをつけられる
- 終わったあと、荒れずに次に移れる
- 「あと5分」の回数が、少しずつ減る
大人が終わらせるのではなく、本人が終われるようになる。そこに向かっていけば大丈夫です。
取り上げるだけでは、解決しにくい
これは、正直にお伝えしておきます。取り上げると、その場は静かになります。でも、こうなることがあります。
- 隠れてやるようになる
- 家の中がずっとピリピリする
- 「奪われた」という記憶だけが残る
- ゲーム以外の楽しみが、何もなくなる
欲求そのものは消えません。行き場をなくすと、別のところで噴き出します。もちろん、生活が壊れているなら制限は必要です。でも「取り上げる」は最後の手段で、最初の一手ではありません。
やめられない理由は、意志の弱さじゃない
ゲームは、区切りが見えにくいものです。次のステージ、あと少しでレベルアップ——続けたくなるように作られています。発達が気になる子の場合、そこにこんな特性が重なることがあります。
- 強く向いた注意を、切り替えるのが苦手
- 楽しい世界から現実に戻るのが、人一倍つらい
- 時間の感覚がつかみにくい
やめられなくて当然です。本人がだらしないわけでも、あなたの育て方のせいでもありません。
ゲームや動画に夢中なときに声が届きにくい理由と、届きやすい声のかけ方は、こちらの記事で書いています。


取り上げる前に試したい5つのこと


ここから具体的に。順番にお伝えします。
①終わりを「時間」ではなく「区切り」にする


「あと5分」「あと10分」は、実はやめにくい指示です。ゲームの区切りと、時計の時間が一致しないからです。だから、こう変えます。
「この試合が終わったら」
「今のステージをクリアしたら」
本人が「キリがいい」と思える場所で終わる。これだけで、抵抗が減りやすくなります。
②終わる少し前に、予告する
いきなり「はい、終わり」は、大人でもつらいものです。終わりの少し前に声をかけて、心の準備の時間をつくります。
❌「はい、終わり」(急に切る)
✅「あと1回だよ」「次で最後ね」(少し前に伝える)
急に切られると荒れる子ほど、この予告が効きやすいです。
終わりの場面で荒れやすい子に、予告や見通しをどう伝えるかは、こちらの記事でも書いています。


③始める前に、終わりを決めておく
ゲームが始まってから「いつ終わるか」を話しても、なかなか通りません。夢中になっている最中に気持ちを切り替えるのは、誰でも難しい。だから、電源を入れる前に話しておきます。
「今日は何回やる?」
「どこまでやったら終わる?」
本人に決めてもらうのがコツです。自分で決めたことのほうが、守ろうという気持ちになりやすいからです。
④終わったあとの「次」を用意する
ゲームをやめたあと、何もないと戻りたくなります。おやつにする、お風呂に入る、一緒に何かをする。「やめる」で終わらせず、「次に移る」にする。行き先があると、離れるきっかけになります。
⑤好きなことを、丸ごと否定しない
つい「ゲームばっかり」と言ってしまいますよね。でも、その世界は本人にとって大事な場所です。否定されると、心を閉じてしまうことがあります。
- 「何を作ってるの?」と聞いてみる
- できたものを見せてもらう
好きなことを認めてもらえている子は、おうちの人の言葉にも、耳を傾けやすくなります。ゲームの中で街を作ったり、仕組みを考えたりしている子もいます。そこに、その子の得意が隠れていることもあります。
ここで、ある保護者の方が気づいたこと
相談に来られた保護者の方が、こう話してくれました。ゲームを取り上げたら、子どもが荒れて、家の中がめちゃくちゃになった。でも、あるとき「何を作ってるの?」と聞いてみたそうです。
そうしたら、子どもがうれしそうに説明してくれた。そこから、話ができるようになったと。止めるより先に、知ろうとする。遠回りに見えて、そのほうが近道なことがあります。
どの工夫が合うかは、お子さんによって違います
5つ全部を、一度にやる必要はありません。同じ「やめられない」でも、どこでつまずいているかで、合う手だては変わります。たとえば、こんな違いがあります。
- 区切りが見えれば終われる子には、①の「この試合が終わったら」から
- 予告で、かえって終わりが気になってしまう子には、②の予告を1回だけ、短く
- 友だちと通信で遊ぶ子には、③で「友だちに『抜けるね』と言えるところで終わる」を、始める前に一緒に決めておく(自分だけ先に抜けるのは、つらいものなので)
試してうまくいかなくても、やり方が悪かったわけではありません。その子に合う工夫が、まだ見つかっていないだけかもしれません。
22年間、特別支援学級の親子と関わってきた中で、「この子はどこでつまずいているんだろう」と立ち止まって考えるうちに、子どもが自分から「次で終わる」と言えるようになったご家庭にも出会ってきました。
家庭だけで抱えないために


工夫だけでは難しいこともあります。たとえば、次のようなことが続いているときです。
- 昼夜が逆転している
- 学校に行けなくなっている
- 食事や入浴をしなくなった
- 課金が止まらない
担任の先生や、かかりつけの小児科、自治体の子育て・発達の相談窓口に、早めに話してみてください。
担任の先生には、「家でゲームを終えるときに荒れることが多くて。学校では、活動の切り替えはどんな様子ですか」と、まず様子を聞くところから始めると、切り出しやすいと思います。
こうしたことがないときも、家の外に、お子さんの様子を一緒に整理してくれる人がいると、一人で考え続けずにすみます。家での工夫も、選びやすくなると思います。
どこに相談すればいいか迷ったら、こちらにまとめています。


子どもがゲームをやめられないときのQA


- 約束しても、結局守れません。意味がないのでは?
-
はじめは、守れないことのほうが多いものです。大事なのは「守れた回数を増やす」こと。守れたときに「今日は自分で終われたね」と言葉にすると、少しずつ回数が増えていきます。
- 無理やり取り上げるのは、絶対にダメですか?
-
絶対ではありません。生活が壊れているときは制限が必要です。ただ、取り上げるなら理由を伝え、いつ返すかも決めておきましょう。何も言わずに没収すると、不信感が残ってしまうことがあります。
- 終わりを決めておいても、毎回荒れます。
-
区切りで終える、少し前に予告する。この2つを試しても荒れるなら、終わったあとの「次」が、本人にとって楽しみなものになっているかを見直してみてください。荒れてしまった日は、その場で説得しようとせず、落ち着いてから「次はどうしようか」と短く振り返るくらいで十分です。
- ゲームばかりで、将来が心配です。
-
心配になりますよね。ただ、好きなことに没頭できる力は、将来の強みになることもあります。取り上げる前に、まずは何をしているのか聞いてみてください。
- YouTubeや動画でも、同じやり方でいいですか?
-
基本は同じです。動画は、1本終わると、次が自動で始まるものもあります。「この動画が終わったら」と、1本で区切ります。自動再生を止められるアプリなら、止めておくのも一つの方法です。
子どもがゲームをやめられないときのまとめ


- 取り上げるのは最後の手段。まず試せることがある
- 終わりは「時間」より「区切り」で決める
- 終わる少し前に、予告する
- 始める前に、本人に決めてもらう
- やめたあとの「次」を用意しておく
- 好きな世界を否定しない。まず知ろうとする
やめられないのは、意志が弱いからではありません。終われるように、少しずつ手伝っていきましょう。
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