授業でタブレットを使ったあと、「返して」と言っても返してくれない。
無理に取り上げようとすると泣いたり怒ったり、授業どころではなくなってしまう。そんな経験、ありませんか?
- タイマーが鳴っても絶対に手放さない
- 「あと1回だけ」が何回も続く
- タブレットを取り上げるとパニックになる
- 約束したのに守れない、を毎回繰り返す
この記事では、タブレットを返せない子への対応として、取り上げる前に「先生がやっておくべきこと」と「子どもと作るルール」をお伝えします。
タブレットを返せないのは「わがまま」だけではない

タブレットをやめられない子を見ると、つい「わがままを言っている」と感じてしまうことがあります。
でも、多くの場合そうではありません。
動画やゲームは、視覚・聴覚の両方に強い刺激を与えます。
特に発達に特性のある子は、この刺激にとても強く引きつけられやすい傾向があります。
さらに、「やめる」という行動には実行機能が必要です。
「今やっていることを止めて、次の行動に切り替える」この力が難しい子にとって、タブレットをやめることは本当に大変なことなのです。
「わがまま」ではなく「やめ方を知らない」「やめられない状態にある」と捉えることが、対応の第一歩です。
個人タブレットを使わせる前に考えたいこと

子ども専用のタブレットを渡す前に、いくつか確認しておきたいことがあります。
- 使えるアプリを制限しているか(使い放題になっていないか)
- 使用時間の上限を設定しているか
- どんなコンテンツを見ているか、大人が把握できているか
- 使う前に「いつ終わるか」を確認しているか
特に学校では、子ども専用よりも大人の端末を一時的に貸すほうが管理しやすいことがあります。
先生が設定できる範囲でコンテンツを絞り、「ここにあるものしか使えない」という状態を作っておくことが大切です。
大人のタブレットで番組を限定する方法

Androidの場合は「ペアレンタルコントロール」、iPadの場合は「スクリーンタイム」を使うと、使用できるアプリや時間を制限できます。
- YouTube → YouTube Kids に切り替えて使えるチャンネルを絞る
- スクリーンタイム(iPad)→ 使用できるアプリを1〜2個に限定する
- 時間制限機能 → 設定した時間になると自動でロックがかかる
「何を見てもいい」という状態よりも、「これだけ見られる」という状態のほうが、子どもにとっても見通しが持ちやすくなります。
「何を見るか」「いつ終わるか」を先に決める

タブレットを渡す前に、必ず「何を見るか」と「いつ終わるか」を確認します。
使い始めてからルールを伝えても、切り替えは難しくなります。
例えば、こんな声かけです。
- 「今日は○○を1本見ようね。終わったら返してね」
- 「タイマーが鳴ったら返すよ。いい?」(うなずきを確認)
- 「返せたら○○しようね」(次の楽しいことを見通しで示す)
タイマーは子どもの目につく場所に置き、「残り時間が見える」状態にしておくと終わりの見通しが持ちやすくなります。
タブレット約束カードの文例

使い始める前に確認できる「約束カード」を作っておくと、毎回言葉で説明しなくてもよくなります。
子どもと一緒に作ると定着しやすいです。
以下に10パターンの文例を挙げます。その子の実態や使う場面に合わせて選んでください。
- ①「タブレットは○分間使います。タイマーが鳴ったら、先生に返します。」
- ②「動画は1本だけ見ます。見終わったら自分でとめて、先生に渡します。」
- ③「タブレットを使う前に、何を見るか先生に伝えます。」
- ④「『返して』と言われたら、すぐに先生に渡します。」
- ⑤「タイマーが鳴る前に、自分でとめることができます。」
- ⑥「タブレットを返したら、次は○○をします。(楽しみを先に決めておく)」
- ⑦「使い終わったら『終わりました』と言って、もとの場所に置きます。」
- ⑧「動画は○本まで。それ以上は見ません。」
- ⑨「学習の時間はタブレットをしまいます。休憩時間になったら使えます。」
- ⑩「タブレットは大切に使います。落としたり投げたりしません。」
カードはラミネートして机の上や学習スペースに置いておくと、使うたびに確認できます。
絵や写真を入れると、文字が苦手な子にも伝わりやすくなります。
約束を守れた時の次の一手

「返せた!」という経験は、次の約束を守る力につながります。守れたときは、具体的に言葉にして伝えましょう。
- 「タイマーが鳴ったらすぐ返せたね。すごい!」
- 「ちゃんと約束守れたね。えらかった!」
- 「返せたから、また今度使えるね」
成功体験が積み重なると、「返すと次もまた使える」という見通しが持てるようになり、自分からタブレットを手放せる子に育っていきます。焦らず、小さな成功を丁寧に積み重ねることが大切です。
守れなかった時に叱るより大事なこと

約束を守れなかった時、つい叱ってしまいたくなります。でも、叱ることで解決するより、次の約束を一緒に確認し直すことのほうが効果的です。
守れなかった原因を考えてみましょう。
- 時間が長すぎた(5分→3分に短くする)
- 次の活動が楽しくなかった(「次は○○」を魅力的にする)
- タイマーの場所が見えていなかった(見える位置に移動する)
- 約束の確認が使い始める前にできていなかった(事前確認を徹底する)
「なぜ守れなかったか」を子どもと一緒に考え、次の約束を作り直すことが、長期的な改善につながります。
特別支援学級でタブレットを返せない子への対応|事前に決めたいルールのQA

- タブレットを使うたびにパニックになります。使わせないほうがいいですか?
-
完全に使わせないのではなく、「使える状況を整えてから使わせる」ことを先にしましょう。ルールや見通しがない状態で使わせるほうが、返せない問題が起きやすいです。約束カードと事前確認から始めてみてください。
- タイマーが鳴っても無視します。どうしたらいいですか?
-
使い始める前に「タイマーが鳴ったら返す」という約束の確認が取れているかを見直しましょう。また、タイマーの種類を変える(音・振動・視覚タイマー)ことで反応が変わる子もいます。最初はタイマーを一緒に止める体験から始めると定着しやすいです。
- 保護者がルールなしで家でも使わせています。学校だけのルールは意味がありますか?
-
学校だけでも、ルールがある場所では守れるという経験を積ませることに意味があります。保護者との連携が取れるようであれば、家でも使えるルールを一緒に考える機会を設けることをおすすめします。
- 約束カードを何度作っても定着しません。
-
カードの内容が子どもの実態と合っていない可能性があります。時間が長すぎる、次の活動が魅力的でない、文字が多すぎるなど、カードを一緒に見直しましょう。子どもが自分で貼ったシールや絵を入れると愛着が持ちやすくなります。
特別支援学級でタブレットを返せない子への対応|事前に決めたいルールのまとめ

タブレットを返せない子への対応は、取り上げることよりも「返せる状況を作ること」が先です。
- 「わがまま」ではなく「やめられない状態」として理解する
- 使わせる前にアプリ・時間を制限しておく
- 使う前に「何を見るか」「いつ終わるか」を確認する
- 約束カードで見通しを持たせる
- 守れた小さな成功を丁寧に認める
タブレットは「ごほうび」ではなく、「約束を学ぶ道具」として使うことができます。
焦らず、少しずつ積み上げていきましょう。





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