注意しても変わらないのは理由がある|通常の学級で立ち歩く・怒る・やらない子への支援

通常学級 立ち歩く 怒る やらない子 支援

通常の学級の中に、

「立ち歩く」
「すぐ怒る」
「やる気をなくす」
「固まる」
「活動に参加しない」

そんな姿を見せる子が数名いて、対応に悩むことはありませんか。

注意してもなかなか変わらない。

その場ではおさまっても、また同じことが起きる。

周りの子への影響もあり、先生自身も疲れてしまう。

そんなとき、まず大切にしたいのは、

「どうしたらやめさせられるか」よりも、
「なぜ、その子はそうせざるを得ないのか」

という見方です。

子どもの行動には、必ず背景があります。

わざと困らせているように見える行動でも、その奥には、

・分からない
・不安
・難しい
・失敗したくない
・助けを求められない
・気持ちをうまく言葉にできない
・教室の刺激が多すぎる
・見通しが持てない

といった困り感が隠れていることがあります。

この記事では、通常の学級でよく見られる子どもの姿ごとに、考えられる理由とサポートの方法を整理します。

目次

困った行動は「困っているサイン」かもしれない

通常学級 困った行動は 困りのサイン

子どもの行動を見るとき、つい表に出ている姿に目が向きます。

立ち歩く子を見ると、
「落ち着きがない」

すぐ怒る子を見ると、
「わがまま」

やらない子を見ると、
「やる気がない」

固まる子を見ると、
「反応が悪い」

そんなふうに見えてしまうことがあります。

でも、その行動は、その子なりの精一杯のサインかもしれません。

例えば、

・課題が難しすぎる子は、「分かりません」と言えずに立ち歩くことがあります。
・失敗が怖い子は、最初からやらないことで自分を守ろうとすることがあります。
・急に当てられることが不安な子は、頭が真っ白になって固まることがあります。
・気持ちを言葉にするのが苦手な子は、怒ることでしか「嫌だった」を表せないことがあります。

つまり、子どもの行動は、単なる問題ではなく、

「今のままでは参加するのが難しいです」というメッセージでもあります。

立ち歩く子は、なぜ歩いてしまうのか

通常学級 立ち歩く子 理由と支援

立ち歩く子に対して、まず言いたくなるのは、

「座りなさい」
「今は歩く時間ではありません」

という言葉かもしれません。

もちろん、安全面や授業の流れを考えると、座ってほしい場面はあります。

ただ、何度言っても立ち歩く場合、そこには理由があるかもしれません。

考えられる理由としては、

・何をすればよいか分からない
・座って聞く時間が長すぎる
・体を動かさないと集中が続かない
・課題が難しくて逃げたくなっている
・先生や友達の反応がほしい
・不安になると場所を移動してしまう
・教室の刺激が多く、落ち着かない

などがあります。

この場合、ただ「座りなさい」と言い続けるだけでは、根本的な解決にはなりにくいです。

大切なのは、

立ち歩かなくても済む環境を作ること
・必要な動きを授業の中に組み込むこと

です。

例えば、次のようなサポートが考えられます。

・「今やること」を黒板やカードで見せる
・「①名前を書く ②1問やる ③先生に見せる」のように手順を短くする
・10分座るのではなく、まず3分座ることを目標にする
・プリント配り、道具配り、黒板消しなど、動いてよい役割を作る
・座席を先生の近くや刺激の少ない場所にする
・できている瞬間に「今、座って聞けているね」と短く認める

立ち歩く子に必要なのは、動きを全部止めることではありません。

授業に参加できる形で、動きを整えていくことです。

すぐ怒る子は、本当は何に困っているのか

通常学級 すぐ怒る子 怒りの前の気持ち

すぐ怒る子がいると、教室全体が緊張します。

友達に強く言う。
注意されると怒る。
負けると怒る。
思い通りにならないと怒る。
物に当たる。
泣きながら怒る。

こうした姿が続くと、先生も周りの子も疲れてしまいます。

でも、怒りの前には、別の気持ちがあることが多いです。

例えば、

・困った
・分からない
・恥ずかしい
・失敗した
・嫌だった
・不安だった
・思いが伝わらなかった
・自分だけ責められた気がした

という気持ちです。

怒りは、最初から怒りとして出ているわけではなく、言葉にできなかった気持ちが、最後に怒りとして出ている場合があります。

そのため、怒っている最中に長く説得したり、みんなの前で指導したりすると、さらに気持ちが高ぶってしまうことがあります。

まずは、落ち着くことを優先します。

サポートとしては、次のような方法があります。

・人前で長く注意しない
・「嫌だったんだね」「困ったんだね」と短く受け止める
・落ち着く場所や落ち着く手順を決めておく
・「やめて」「手伝って」「少し休みたい」などの言い方を教える
・怒る前のサインを見つける
・落ち着いた後に「次はどうする?」を一緒に考える

怒っている最中に、正しいことをたくさん伝えても入りにくいです。

大切なのは、怒った後に責めることより、怒る前に支えることです。

「怒らないようにしなさい」ではなく、「怒らなくても伝えられる方法」を一緒に増やしていくことが支援になります。

やる気をなくす子は、本当にやる気がないのか

通常学級 やる気がない子 始められる大きさに

授業中にすぐやる気をなくす子もいます。

プリントを見ただけでため息をつく。
「無理」と言う。
鉛筆を置く。
机に伏せる。
少し注意されると、もうやらなくなる。
友達と比べて自信をなくす。

この姿を見ると、

「やる気を出して」
「頑張ればできるよ」

と言いたくなるかもしれません。

でも、やる気をなくしている子は、もともとやる気がないのではなく、これまでの失敗経験が積み重なっていることがあります。

考えられる理由としては、

・できない経験が多く、あきらめている
・間違えるのが怖い
・完璧にできないならやりたくない
・何から始めればよいか分からない
・課題量を見ただけで無理だと思っている
・また注意されると思っている
・友達と比べて自信をなくしている

この場合、「やる気を出そう」と言うだけでは動きにくいです。

必要なのは、やる気を出させることではなく、始められる大きさにするこです。

例えば、

・プリントを半分に折る
・「まず1問だけ」にする
・最初の一文字だけ一緒に書く
・できそうな問題から始めてもよいことにする
・「漢字からやる?計算からやる?」と選ばせる
・書く量を減らす
・途中までできたことを認める

声かけも、少し変えると入りやすくなります。

「全部やろう」より、
「まずここだけやろう」

「頑張って」より、
「1問できたら十分」

「なんでやらないの」より、
「始め方が分からなかったかな」

このように、入口を小さくすると、動き出せる子がいます。

やる気は、言葉で出させるものではなく、「できた」という経験の後から戻ってくることがあります。

固まる子は、反抗しているわけではない

通常学級 固まる子 反抗ではなく一時停止

声をかけても黙っている。
質問しても返事がない。
動き出さない。
表情が止まる。
その場から動けない。

このような子を見ると、

「聞いているの?」
「どうしたの?」
「早く言って」

と言いたくなる場面があります。

でも、固まる子は、反抗しているのではなく、頭や心が一時停止していることがあります。

考えられる理由としては、

・何を求められているか分からない
・失敗が怖い
・急に聞かれて頭が真っ白になった
・注目されると緊張する
・返事の仕方が分からない
・選べない
・気持ちを言葉にできない
・先生の表情や声の強さに緊張している

固まる子には、急かすほど固まりやすくなることがあります。

必要なのは、早く答えさせることではなく、答えやすい形にすることです。

サポートとしては、

・すぐに答えを求めない
・「AとBならどっち?」と選択肢にする
・指差し、うなずき、カードでも答えられるようにする
・小声で個別に聞く
・みんなの前で答えさせる回数を減らす
・先に答える内容をメモさせる
・「今は考え中でいいよ」と伝える

固まる子には、安心が先です。

「言わせる」よりも、「伝えられる方法を増やす」ことが大切です。

活動に参加しない子は、なぜ動き出せないのか

通常学級 活動に参加しない子 ハードルを下げる

活動に参加しない子もいます。

体育で動かない。
グループ活動に入らない。
制作を始めない。
音楽や発表を嫌がる。
係活動に参加しない。
みんなが動いている中で、一人だけ止まっている。

この姿を見ると、

「やりたくないだけかな」
「わがままかな」

と思ってしまうこともあります。

でも、活動に参加しない背景には、

・活動の意味が分からない
・手順が分からない
・失敗したくない
・友達と一緒にやるのが不安
・音や人の多さがつらい
・終わりが見えない
・最初の一歩が重い
・困ったときの助け方が分からない

といった理由があることがあります。

この場合、いきなり「みんなと同じように全部参加」を求めると、さらに動けなくなることがあります。

まずは、参加のハードルを下げます。

例えば、

・全部参加ではなく、一部参加にする
・まずは見学からでもよいことにする
・「道具を持つだけ」「名前を書く係」など小さな役割にする
・手順を見える形で示す
・最初だけ先生と一緒に行う
・安心できる友達と組ませる
・活動前に「ここまでできればOK」を伝える
・終わりの見通しを示す

大切なのは、参加できたか、できなかったかの二択にしないことです。

「見ることができた」
「その場にいられた」
「道具を持てた」
「最初の1分だけ参加できた」

これも大事な参加です。

小さな参加を積み重ねることで、次の一歩につながります。

数名いるときは、個別対応だけで抱え込まない

通常学級 個別対応 抱え込まない 全体支援

普通級の中に、同じように支援が必要な子が数名いる場合、先生一人で個別に対応し続けるのはとても大変です。

だからこそ、クラス全体に効く支援として入れることが大切です。

一人の子のための支援に見えても、実はクラス全体にとって分かりやすい支援になることがあります。

学級全体に入れたいサポート

通常学級 全体に効くサポート 5つ

1. やることを見えるようにする

口頭だけの指示は、聞き漏らす子がいます。

黒板やカードで、

①聞く
②書く
③先生に見せる
④終わったら読む

のように、流れを見えるようにします。

見えると安心する子がいます。

聞き逃しても戻れる子がいます。

先生も同じ説明を何度も繰り返さずに済みます。

2. 課題を小さくする

始められない子には、量より入口です。

「全部やりなさい」ではなく、

・まず名前を書く
・まず1問
・まず1行
・まず道具を出す
・まず教科書を開く

と小さくします。

始めることができれば、その後に続くことがあります。

3. 選べる場面を作る

子どもは、自分で選べると動きやすくなることがあります。

例えば、

「漢字からやる?計算からやる?」
「ここでやる?先生の近くでやる?」
「1番からやる?できそうなところからやる?」
「書く?丸で選ぶ?」

選択肢は多すぎると迷うので、2つくらいがちょうどよいです。

選べることは、安心にもつながります。

4. 注意より予告を増やす

困った行動が出てから注意するより、出る前に支える方が効果的です。

例えば、

「次は書く時間です」
「分からなかったら手を挙げてね」
「3問できたら先生に見せてね」
「疲れたら休憩カードを使っていいよ」
「あと5分で終わります」

このような予告があると、子どもは心の準備がしやすくなります。

5. できた直後に認める

困った行動が目立つ子ほど、できている瞬間を見逃さないことが大切です。

「今、席に戻れたね」
「鉛筆を持てたね」
「1問目に入れたね」
「怒らずに言えたね」
「休憩して戻ってこられたね」
「今、聞こうとしていたね」

大げさにほめなくても大丈夫です。

事実を短く伝えるだけでも、子どもには届くことがあります。

まずは、困る場面を1つに絞る

通常学級 困る場面を1つに絞る

対応に悩む子が数名いると、全部を一度に何とかしようとしてしまいます。

でも、最初からすべての場面を変えようとすると、先生が疲れてしまいます。

まずは、困る場面を1つに絞るのがおすすめです。

例えば、

・朝の会
・国語
・算数
・給食前
・体育
・帰りの会
・グループ活動

などです。

そして、その場面で、

「何の直後に立ち歩くのか」
「どんな声かけの後に怒るのか」
「どの課題でやる気をなくすのか」
「誰の前で固まりやすいのか」
「活動のどこで止まるのか」

を見ていきます。

行動の前を見ると、支援のヒントが見えてきます。

対応の基本は「先に支える」こと

通常学級 先に支える 困る前の工夫

困った行動が出てから対応するのは、とても大変です。

もちろん、その場で安全を守る対応は必要です。

でも、毎回その場対応だけになると、先生も子どもも苦しくなります。

だからこそ、

・先に見通しを出す
・先に手順を見せる
・先に選択肢を出す
・先に休憩方法を決める
・先に「ここまででOK」を伝える
・先に助けの求め方を教える

という支援が大切です。

子どもが困る前に支える。

これが、教室全体を落ち着かせるための大きなポイントです。

注意しても変わらない子には理由がある|普通級で立ち歩く・怒る・やらない子への支援のよくある質問

通常学級 立ち歩く 怒る 支援 Q&A
立ち歩く子には、毎回注意した方がよいですか?

毎回強く注意するよりも、まずは立ち歩く前の場面を見ることが大切です。

例えば、説明が長いときに立つのか、課題が始まった瞬間に立つのか、分からなくなったときに歩くのかで、支援は変わります。

「座りなさい」と言うだけでなく、

・今やることを見せる
・最初の1問だけ一緒にやる
・動いてよい役割を作る
・短い時間座れたことを認める

など、立ち歩かなくても済む形を作っていくことが大切です。

すぐ怒る子には、どう声をかければよいですか?

怒っている最中は、長く説明したり、正論を伝えたりしても入りにくいことがあります。

まずは、

「嫌だったんだね」
「困ったんだね」
「少し落ち着こうか」

のように、短い言葉で対応します。

落ち着いた後に、

「次はどう言えばよかったかな」
「困ったときは、先生にどう知らせようか」

と一緒に考えるとよいです。

大切なのは、怒った後に責めることより、怒る前に困り感に気づくことです。

やる気がない子には、どうやってやる気を出させればよいですか?

「やる気を出して」と言っても、すぐに動けない子もいます。

やる気がないように見える子は、実は、

・できない経験が多い
・失敗が怖い
・何から始めればよいか分からない
・量を見ただけで無理だと思っている

という場合があります。

そのため、まずは課題を小さくします。

「全部やろう」ではなく、

「まず名前だけ書こう」
「1問だけやってみよう」
「ここまでできたらOK」

と、始めやすい大きさにすることがポイントです。

やる気は、できた経験の後から戻ってくることがあります。

固まって何も言わない子には、どう対応すればよいですか?

固まる子は、反抗しているのではなく、不安や緊張で動けなくなっていることがあります。

このときに、

「早く言って」
「なんで黙っているの?」
「聞いているの?」

と急かすと、さらに固まってしまうことがあります。

サポートとしては、

・少し待つ
・選択肢を出す
・指差しやうなずきでも答えられるようにする
・みんなの前ではなく、個別に聞く
・先に答えをメモさせる

などが有効です。

「言わせる」よりも、伝えられる方法を増やすことを意識するとよいです。

普通級で数名いる場合、先生一人でどう対応すればよいですか?

数名いる場合、全員に個別対応を続けるのはとても大変です。

まずは、クラス全体に効く支援として、

・やることを黒板に書く
・手順を短く示す
・課題を小さくする
・選択肢を出す
・終わりの見通しを伝える
・できた行動を短く認める

といった方法を入れるのがおすすめです。

一人の子のための支援に見えても、実は多くの子にとって分かりやすい支援になります。

また、先生一人で抱え込まず、学年の先生、特別支援教育コーディネーター、管理職、保護者とも情報を共有していくことが大切です。

注意しても変わらない子には理由がある|普通級で立ち歩く・怒る・やらない子への支援のまとめ

通常学級 困った行動 支援 まとめ

普通級で、

・立ち歩く
・すぐ怒る
・やる気をなくす
・固まる
・活動に参加しない

という子がいると、先生は本当に悩みます。

でも、その行動の奥には、

「分からない」
「不安」
「難しい」
「失敗したくない」
「助けを求められない」
「気持ちを調整できない」

という困り感があるかもしれません。

大切なのは、行動だけを見て叱ることではなく、

この子は、何に困っているのだろう?
どうすれば、困らずに参加できるだろう?

と考えることです。

子どもは、安心できる方法が分かると、少しずつ動き出せることがあります。

全部を一度に変えなくても大丈夫です。

まずは、困る場面を1つに絞る。
やることを見えるようにする。
課題を小さくする。
選べるようにする。
できた瞬間を認める。

その小さな積み重ねが、子どもの姿を変えていきます。

そして、先生自身が一人で抱え込まないことも大切です。

困った行動は、子どもからのサインです。

そのサインを読み取ることから、支援は始まります。

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