先生という仕事は、気づかないうちに心と体に疲れをため込みやすい仕事です。
「私が頑張らなくては」と踏ん張り続けるうちに、深い呼吸や自分の声を忘れてしまうこともあります。
そんなときに訪れたのが、伊豆高原の「やすらぎの里」でした。
断食と瞑想を通して、歩く・呼吸する・味わうだけで心と体が驚くほど軽くなることを体験し、
“整える”とはこういうことなのかと深く実感しました。
この記事では、1週間の体験から得た気づきを、忙しい先生にも無理なく取り入れられる形で丁寧にお伝えしていきます。
やすらぎの里はどんなところ?
やすらぎの里は、伊豆高原の豊かな自然の中にあるリトリートの宿です。
一般的なホテルに近い快適さがありますが、ホテルとは違って、人との交流が自然に生まれる温かい雰囲気が特徴です。
食事の席やバス移動、朝の散歩など、あらゆる場面でふっと会話が始まり、初めて訪れても安心できる空気があります。
私自身も行くたびに新しい友人ができ、さまざまな方の生き方や考え方に触れられる貴重な場所です。
やすらぎの里代表で本館館長の大沢先生とやすらぎの里の癒し担当うみちゃん。


やすらぎの里での過ごし方(食事の流れ)
やすらぎの里での滞在は、無理なく体を休められるよう丁寧に組み立てられています。
今回は話し方のリトリートに参加したため、一般的なスケジュールとは少しだけ違いましたが、断食の流れとしては次のようなイメージです。

到着した最初の夜は、具なしのお味噌汁の夕食をいただきます。
断食の日が続いても、“何も食べられない”というわけではありません。
スムージーや酵素ジュースが用意されていて、生姜湯も一日にたっぷり飲むことができます。生姜湯は体がじんわり温まり、血糖値の急な落ち込みを防いでくれる心強い存在でした。
塩分が足りないときは梅干しをいただけますし、ハブ茶やノンカフェインのお茶も種類が多く、自由に飲むことができます。
こうしたサポートが充実しているので、意外なほど空腹感がなく、安心して体を休める時間になりました。
そして、本格的な断食が始まります。
月曜から水曜までは、具の入っていないお味噌汁やスムージーなど、体に負担をかけない飲み物が中心になります。
断食といっても決して“苦しさ”を感じるような内容ではなく、自然と体が軽くなるような過ごし方です。


断食が数日続くと、ゆっくりと回復食が始まります。
味覚が鋭くなっているので、一つひとつの素材の甘さや香りがしっかり分かるようになり、食べることのありがたさをあらためて感じます。
断食後の回復食が難しいのですが、写真の通り、素材の味を生かした優しいメニューで、旅の緊張をすっとほどいてくれるような食事でした。
断食明けは「回復大根とにんじんシャーベット」!味付けは醤油麹、お味噌、梅

そして、「おかゆと具ありのお味噌汁」

野菜のお出汁が効いたリゾットとキャベツと油揚げの煮浸し、豆乳ヨーグルトのデザートも。

これはほぼ通常食と言っても良い感じです。
玄米ご飯のおにぎり、冷奴、車ふ、お味噌汁。
のりがおいしかったのと、お醤油なしの冷奴が格別でした!

最終日の前夜には、楽しみにしている方も多い「ディナー」が用意されます。

体に負担のかからない、“ご褒美”のような華やかさのある食事です。
断食後だからこそ、心から味わえる優しい豪華さがあります。

帰る当日の朝は、アジのひものの定食が出ます。
シンプルで滋味深く、体にすっとしみ込むような朝食で、
「また頑張れるな」と背中を押してくれるような優しい締めくくりでした。
前回の記事はこちら👇

断食は“つらい修行”ではない

断食と聞くと、空腹に耐える辛い日々を想像されるかもしれません。
でも、やすらぎの里の断食は“まったく食べない”わけではありません。
具なしのお味噌汁、グリーンスムージー、にんじんジュース。
お茶やハーブティー、生姜湯、アルカリ水。
塩分が足りないときは梅干しや梅酢のドリンクもいただけます。
こうしたサポートがあるので、私は今回、一度も「お腹が空いてつらい」と感じませんでした。
前回は血糖値が下がって頭痛を感じたこともありましたが、今回は生姜湯や塩分調整について丁寧に指導をいただき、安心して過ごすことができました。
専門スタッフが見守ってくれるので、心も体も任せて休める時間です。
心は“体”から整うという発見

— 調身 → 調息 → 調心の順で整えていく —
やすらぎの里で教えていただいたのは、心を整えるには順番があるということでした。
体を整える
呼吸を整える
心が整う
私たちは心が乱れた時に“気持ちを落ち着けよう”としがちですが、本来は身体や呼吸が先なのだそうです。
調身の基本は、歩くこと。
学校で働いていると、気づけばかなり歩いていますが、それに“意識”を加えるだけで体のほぐれ方が変わります。
そして調息。
深呼吸と聞くと“吸うこと”に意識が向きがちですが、本当に大事なのは“吐く”ほうでした。
吐いて、吐いて、さらに吐く。
「まだ吐けるな」と思うくらいまで吐いてはじめて、自然に空気が入ってきます。
緊張やストレスで呼吸が浅くなりがちな先生には、とても効果的な方法です。
体と呼吸が整うと、心がそっと整い始める。
その順番が初めて腑に落ちました。
1粒のレーズン「食べる瞑想」で気づいた“五感を取り戻す”感覚

レーズン一粒を五感で味わう瞑想は、特に心に残る時間でした。
レーズンの形をじっくり観察し
手触りを感じ
香りをしっかり嗅ぎ
舌の上で味わい
唾液が出る変化を感じ
ゆっくり噛み
喉を通る感覚を追う
この一連の流れは、まるで生活科でのアサガオやミニトマトの観察をしているようで、
“五感を使う”とはこんなに豊かだったのかと驚かされました。
忙しい日々の中で、どれほど自分の感覚を置き去りにしていたかに気づく体験でした。
健やかに年を重ねるということ

滞在中、館長・大沢先生のお父さま(85歳)をお見かけする機会がありました。
軽自動車を運転し、庭仕事をし、眠くなれば休む。
自分のペースで暮らす姿がとても美しく、こんな生き方ができたら、と自然に思えました。
無理をせず、自分の体を尊重して暮らすこと。
これこそが健やかに年を重ねるヒントなのだと感じました。
「それはそれとして」

— 教員の心を軽くする言葉
館長が紹介してくださった言葉に「それはそれとして」というものがあります。
問題があるとき
ストレスを抱えたとき
保護者対応に追われたとき
学級経営で悩んだとき
一度心の中で“それはそれとして”と唱えると、不思議と少し距離が生まれ、必要以上に追い込まれずにすみます。
教員の心を守る魔法のような言葉でした。
特に読んでほしい先生

体の痛みや重さがある
気持ちが沈みがち
やる気が出ない
人のために動きすぎてしまう
メンタルが病む手前にいる
こうした状態に心当たりのある先生には、今回の話が特に役立つと感じています。
体験後の変化

やすらぎの里で過ごした後、心も体も驚くほど軽くなりました。
首や肩の詰まりが取れ、体の流れがよくなり
前向きな気持ちが戻り
「できていなかったこと」に向き合えるようになり
自分を大事にする感覚を取り戻せた
体重が減ったこと以上に、この変化が何よりの収穫でした。

今日からできる、やさしいセルフケア

小さな習慣で十分です。
意識して歩く
夕食の最初のひと口を丁寧に噛む
息をしっかり“吐く”深呼吸をする
困ったときは「それはそれとして」と唱える
どれかひとつだけでも、毎日の疲れ方が変わってきます。

【体験談】やすらぎの里の断食プログラムで気づいた“心と体が整う習慣”|教員にもおすすめのまとめ

— 自分を大切にすることは、子どものためにもなる
やすらぎの里で得た気づきは、断食というより“自分に戻る時間”だったように思います。
先生という仕事は、人のために動く時間がどうしても長くなります。
だからこそ、自分をいたわる習慣は、決して贅沢ではありません。
むしろ、明日の自分を守るために必要な時間です。
今回の体験が、どこか少しでも皆さんのセルフケアのヒントになりますように。
そして、心と体が整う感覚を、いつか感じていただけたら嬉しいです。




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