「うちの子、板書が写せない」
「ノートを見たら、途中で止まっている」
「先生から”写すのが遅い”と言われた」
ノートを開いたときや、面談のあとに、ふと心配になりますよね。
何度「ちゃんと写して」と言っても変わらない。つい「ちゃんと見て!」と言ってしまう。でも、しかってもうまくいかないのには、ちゃんと理由があります。
それは、やる気でも性格でもなく、「見る力(ビジョン)」が関係しているかもしれません。
小学校の特別支援学級で22年、担任とコーディネーターをしてきました。
「板書が写せない子がいる」は、通常学級の先生から相談されることのいちばん多い困りごとです。
この記事では、板書が写せない・遅いときに考えられる理由と、家でできる練習をまとめます。
特別な道具はいりません。
板書が写せない・遅いのは、なぜ?「見る力」が関係しています

まず、知ってほしいことがあります。
- 板書をノートに写すのが遅い
- 文字がマスや罫線からはみ出す
- 音読で行をとばす・同じ行を読む
- ボールをうまくキャッチできない
こういう「読む・書く・体を動かす」の苦手は、目そのものの視力とは別の「見る力」が関係していることがあります。
視力検査は1.0でも、「見たいものに目をパッと合わせる」「動くものを目で追う」「見たものを正しく写す」力が育ちきっていないと、本人はすごくがんばっているのに、うまくいかないんです。
板書が写せないとき、理由は1つではありません

「板書が写せない」と一口に言っても、理由はいくつかあります。ここを取りちがえると、ちがう努力をさせてしまうので、先に整理しておきます。
① 目の使い方(見る力)
黒板を見て、ノートに視線を落として、また黒板に戻る。この行き来がうまくいかないと、どこまで写したか分からなくなります。
視力検査では見つかりません。
この記事の中心は、ここです。
② 視力そのもの
単純に黒板が見えていないこともあります。
眼鏡が合っていない場合も。
まずは眼科で確認するのがいちばん早いです。
③ 書く力(手先・字の形をおぼえる力)
見えてはいるのに、書くのが追いつかない。
文字の形を思い出すのに時間がかかる。
この場合は、書く量を減らす配慮のほうが効きます。
④ 注意が続かない
まわりの音や動きが気になって、途中で止まってしまう。
座る場所を変えるだけで変わることもあります。
見分けの目安は、こうです。
・写し始めるまでは早いが、途中で止まる → ①か④
・黒板を見て「見えない」と言う → ②
・写せるが、とにかく時間がかかる → ③
もちろん、重なっていることもよくあります。
どれか1つに決めなくて大丈夫です。
「①かもしれない」と思ったら、次の章から試してみてください。
板書を写す力は、家でも育てられます

安心してほしいのは、見る力は「筋トレ」と同じで、後からでも育つということ。
これを高める取り組みが「ビジョントレーニング」です。
私は特別支援学級やコーディネーターとして、たくさんの保護者の方に「家でやってみませんか」と提案してきました。
そして、こんな変化を何度も見てきました。
- 音読を嫌がっていた子が「やればできる」と、自分から宿題をするように
- 黒板を写さなかった子が「書くの、嫌じゃなくなった」とノートを見せてくれた
大がかりな道具はいりません。
100円ショップと、おうちにあるものだけで始められます。
うまくいかないのは、あなたの育て方のせいじゃない

ここは、はっきりお伝えします。
字が汚いのも、読むのを嫌がるのも、あなたのしつけや愛情が足りないからではありません。
「見る力」は目立たない力なので、まわりから気づかれにくく、本人も「なんでできないんだろう」と自信をなくしがちです。
だからまず、「サボってるんじゃなくて、見る力を育てている途中なんだ」と受けとめてあげてください。
それだけで、声かけがやさしくなります。
板書が苦手な子に、家でできる練習【遊び感覚でOK】

ここからは具体的なやり方です。
1日3〜5分、遊びとしてが基本。
ぜんぶやる必要はありません。
① 昔あそび(お手玉・おはじき・ビー玉)
手と目を同時に使う、昔ながらの遊び。親子で向かい合ってやるだけで、目と手の連携が育ちます。
② 文字さがし(新聞・チラシ)
1枚わたして「”あ”を全部○で囲んでみよう」。たくさんの中から目標を見つける力が育ちます。
③ ゆびさきおいかけ
あなたが指をゆっくり動かし、子どもは顔を動かさず目だけで追いかけます。動くものを目で追う力(追従性)のトレーニングです。
④ 見つけたらタッチ
紙にバラバラに数字を書いて「1→2→3…順番にタッチ」。目をあちこちにパッと動かす力(跳躍性)が育ちます。
⑤ まちがいさがし・迷路・点つなぎ
市販でも無料プリントでもOK。楽しく続けられるものを選びましょう。
無料プリントはこちらが充実しています。

⑥ アプリでゲーム感覚
「机に向かうのが苦手」な子には、北出勝也医師監修のアプリも。
iPad対応など条件があるので、無理のない範囲で。
続けるコツは「もっとやりたい」で終わること

大事なのは、楽しく・短く・毎日。
週1回1時間より、1日3分を毎日のほうが力になります。筋トレと同じですね。
- ❌「あと10分やりなさい」→ 目が疲れて逆効果
- ✔「今日はここまで!また明日ね」→ 楽しい気持ちで終わる
「もう終わり?もっとやりたい!」——
このくらいで止めるのが、続けるいちばんのコツです。目を使いすぎると、かえって力は伸びません。5分たったら休憩、を合言葉に。
家でがんばるだけでなく、学校にお願いできること

家での練習も大切ですが、学校に伝えるだけで変わることも、たくさんあります。
担任の先生に相談していいことを、いくつか挙げておきます。
- 板書を写真に撮らせてもらう(撮ってから、家で写す)
- 書く量を減らしてもらう、穴うめ式のプリントにしてもらう
- マス目や罫線が大きいノートを使わせてもらう
- 黒板に近い席にしてもらう
- 「時間内に終わらなくてもいい」と本人に伝えてもらう
どれも、特別なことをお願いしているわけではありません。その子が学べる形に整えてもらうだけです。
伝え方に迷ったら、こんなふうに切り出すと届きやすいです。
「家でノートを見たら、途中で止まっていることが多くて。
本人はがんばっているようなのですが、学校での様子はいかがでしょうか」
「配慮してください」より、「学校ではどうですか」と聞くほうが、先生も答えやすくなります。
困っていることが伝われば、たいていの先生は一緒に考えてくれます。
始める前に、これだけは確認を

トレーニングの前に、一度は眼科の受診をおすすめします。
近視・遠視・乱視がないか、メガネでの矯正が必要ないか、目の病気がないかを確認してから始めると安心です。
「うちの子、専門的にみてほしい」という場合は、ビジョントレーニングに詳しい眼科(少なめで混みがちです)へ。
気になることは、早めに専門家に相談するのがいちばんです。
もっと知りたい方へ(まず1冊ならこれ)

「そもそも何が苦手かを知りたい」という方には、この1冊がおすすめです。
視覚機能チェックリストで、どのトレーニングが向いているかが分かります。
板書が写せない子について、よくある質問

まとめ|板書が写せないのは、がんばりが足りないからではありません

字の汚さや読みの苦手は、「見る力」を育てることで、変わっていくことがあります。
大切なのは、楽しく・短く・毎日、そしてしかるより一緒に遊ぶこと。
うちの子のペースで、今日から一歩、はじめてみませんか。
ビジョントレーニングの「効果」や「いつから出るの?」が気になる方は、こちらもあわせてどうぞ。


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