特別支援学級を担当していると、
「生活単元学習って、結局どう考えればいいの?」
「行事や活動と何が違うの?」
「ちゃんと“勉強”になっているのか不安…」
と感じることはありませんか。
生活単元学習は、
特別支援学級の学びの中心とも言える大切な学習ですが、
学習指導要領の文章だけでは、実践のイメージがつかみにくいのが実情です。
この記事では、
特別支援学級担任の先生が
「理解し実践に移せる」
ことをゴールに、生活単元学習の全体像を整理します。
生活単元学習が「難しい」「よく分からない」と感じる理由

生活単元学習が難しく感じられる一番の理由は、
「教科のように型が見えにくい」ことです。
- 教科書がない
- 正解が一つではない
- 行事や活動と見た目が似ている
そのため、
「これで合っているのか分からない」
「説明できる自信がない」
と不安になりやすい学習でもあります。
まずは、この戸惑いは多くの先生が感じているものだと知ることが大切です。
生活単元学習とは何か|学習指導要領に基づく考え方
生活単元学習とは、
子どもたちの生活に関わる課題を通して、
自立や社会参加に必要な力を総合的に育てる学習です。
買い物、行事の準備、遠足、調理など、
実際の生活場面をテーマにし、
それに関わる一連の活動を一つの単元として組織的に経験させます。
これは学習指導要領にも位置づけられている、
正式な学習形態です。
「生活に近い活動を通して学ぶこと」
そのものが、生活単元学習の大きな特徴です。
生活単元学習は「遊び」ではない|行事・活動との決定的な違い
生活単元学習は、
見た目だけを見ると「遊び」や「行事」と混同されがちです。
しかし、決定的な違いがあります。
生活単元学習には、必ず
・ねらい
・育てたい力
・評価の視点
があります。
ただ楽しく活動するのではなく、
- どんな力を育てるのか
- 何ができるようになったか
を、教師が意図的に見取り、支えていきます。
ここが、
「活動」や「行事」との大きな違いです。
特別支援学級で生活単元学習が特に大切な理由
特別支援学級の子どもたちは、
抽象的な説明よりも、
実際の経験を通した学びの方が理解につながりやすい場合が多くあります。
生活単元学習では、
- 見る
- 触る
- 動く
- 人と関わる
といった体験を通して学ぶため、
「分かった」「できた」を実感しやすく、
成功体験を積み重ねやすいのです。
その積み重ねが、
自信や意欲につながり、
将来の生活にも生きていきます。
教科との関係をどう考える?|「合わせる指導」という考え方
生活単元学習では、
国語・算数などの教科をバラバラに教えるのではなく、
生活を中心に教科の内容を“合わせる”形で指導を構成します。
たとえば「買い物」の単元では、
- 国語:やりとり、言葉で伝える
- 算数:数やお金の扱い
- 生活・社会:地域やルール
- 自立活動:見通しや気持ちの調整
といった内容が、
同じ活動の中で自然に出てきます。
教科の力は、
生活の中で使われることで、意味をもって身に付く
と考えると整理しやすくなります。
単元はどうやって考える?|行事ありきにしない視点
生活単元学習の単元づくりで大切なのは、
行事から考えすぎないことです。
まず見るのは、
- 子どもの実態
- 生活上の困りごと
- これから身に付けたい力
そこに、
季節や学校行事を重ねていきます。
行事は
「目的」ではなく
「学びの場の一つ」として位置づけることがポイントです。
授業づくりの基本構造|1単元の全体像

生活単元学習の授業は、
次のような流れで整理すると考えやすくなります。
1.見通しをもつ
2.準備・計画する
3.実際にやってみる
4.振り返る
この流れを意識するだけで、
活動が「学習」として整理されやすくなります。
※具体的な授業の流れや例は、
▶別記事「特別支援学級 生活単元学習の授業づくり|1単元の流れと具体例」で詳しく解説します。

評価はどうする?|生活単元学習の見取りと記録
生活単元学習の評価は、
テストで測るものではありません。
見るのは、
- 行動の変化
- やりとりの変化
- 取り組み方の変化
「できた/できなかった」ではなく、
「前よりどう変わったか」を見ることが大切です。
この見取りが、
通知表や個別の指導計画の評価につながっていきます。
初任者・異動者がつまずきやすいポイント
- 何を評価すればいいか分からない
- 教科との関係が説明できない
- 行事との線引きに迷う
こうした悩みは、
生活単元学習に真剣に向き合っている証拠でもあります。
一人で抱え込まず、
校内で考え方を共有しながら進めていくことが大切です。
【完全ガイド】生活単元学習とは?特別支援学級担任が“理解して実践できる”進め方のよくある質問(Q&A)

生活単元学習について調べていると、
「これで合っているのかな」
「説明しようとすると言葉に詰まる」
と感じることはありませんか。
実際、特別支援学級担任の先生からは、
遊びとの違い、教科との関係、評価の考え方など、
同じような疑問が多く寄せられます。
ここでは、現場で特によく聞かれる質問を取り上げ、
明日からの実践や校内での説明にそのまま使える形で
Q&Aとして整理しました。
- 生活単元学習は「遊び」と何が違うのですか?
-
生活単元学習は、ただ活動を楽しむ「遊び」ではありません。
ねらい・育てたい力・評価の視点をもって、生活上の課題を学習として組み立てている点が大きな違いで
活動の前後で「見通し」や「振り返り」を行い、できるようになったことを教師が意識して見取ることで、学習として成立します。 - 国語や算数の授業をしなくても大丈夫なのでしょうか?
-
生活単元学習では、国語や算数を「しない」のではなく、
生活の中で使いながら学ぶという考え方を取ります。
例えば買い物の単元では、数を数える・言葉で伝える・やりとりをするなど、教科の力が自然に含まれています。
教科を分けて行わなくても、力は生活の中で育てることができます。 - 単元は行事に合わせて作ってもいいのですか?
-
行事をきっかけにすること自体は問題ありません。
ただし大切なのは、行事が目的にならないことです。
「この行事を通して、どんな力を育てたいのか」を先に考え、
行事を“学びの場の一つ”として位置付けることで、生活単元学習として整理しやすくなります。 - 評価は何を見ればよいですか?テストは必要ですか?
-
生活単元学習では、テストによる評価は基本的に行いません。
見るのは、- 行動の変化
- やりとりの変化
- 見通しをもって行動できたか
など、活動の中での成長です。
この日々の見取りや記録が、通知表や個別の指導計画の評価につながります。
- 初めて担任する場合、どこから始めればいいですか?
-
最初から完璧な単元を作ろうとしなくて大丈夫です。
まずは、
「子どもの生活で、今どんな力が必要か」
を考えることから始めてください。
短い活動でも、
見通し → 活動 → 振り返り
の流れを意識するだけで、生活単元学習として十分な一歩になります。

【完全ガイド】生活単元学習とは?特別支援学級担任が“理解して実践できる”進め方のまとめ
生活単元学習は、
特別なことをする学習ではありません。
生活単元学習は「生活を見ること」から始まります。
- 子どもの生活を見る
- 必要な力を考える
- 経験を振り返る
この積み重ねが、
子どもの自立と社会参加につながっていきます。
まずは、
「この子の生活で、今どんな力が必要かな」
と考えるところから始めてみてください。
そこから、
生活単元学習は自然に形になっていきます。




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