「また、あの子にくっついてる…」
お友達との距離が近い。すぐ抱きつく。初対面の人にも、ぐいぐい近づく。
そのたびに「離れなさい」と言うのに、次の日には、また同じ。
ぷーた先生「何回言えば分かるの」「うちの子、どこか変なのかな」——そう思ってしまうこと、ありますよね。
まず、お伝えしたいことがあります。その子は、あなたの言うことを聞いていないわけではありません。「距離」が、目に見えていないだけなんです。
この記事では、距離感が近い・抱きついてしまう子への、家でできる5つの教え方をまとめます。最後には、担任の先生への伝え方の例文も載せています。
まず、知っておきたい3つのこと


具体的な教え方に入る前に、土台になる3つのことをお伝えします。ここが分かると、あとの声かけが、ぐっとラクになります。
距離を覚えると、いちばんラクになるのは本人
先に、ゴールの話をさせてください。距離感は、練習で身についていきます。そして距離を覚えると、いちばんラクになるのは、実は本人です。
- 毎回「近いよ」と言われずにすむ
- 友達との関係が、途中で切れにくくなる
- 「こわい子」と誤解されずにすむ
くっつきたい気持ちも、仲良くなりたい気持ちも、悪いものではありません。その気持ちの「出し方」だけを、いっしょに増やしていく。そんなイメージで読んでいただけたらうれしいです。
「離れて」だけでは、なぜ直らないのか


うまくいかないとき、たいてい起きているのはこれです。
❌ 「離れて!」とだけ言う
❌ 「ダメ!」で止める
❌ その場では離れる → 次の日また同じ
「離れて」と言われても、子どもにはどこまで離れればいいのかが分かりません。
大人にとっての「ちょうどいい距離」は、言葉にしなくても、なんとなく分かるもの。
でも、そこが見えにくい子にとっては、「離れて」は“ヒントのない指示”になってしまうんです。
近づきすぎる理由は、1つじゃない


「距離が近い」と一口に言っても、理由はいくつかあります。ここを取りちがえると、ちがう努力をさせてしまいます。
- 相手の表情や気持ちに、気づきにくい
- 「仲良くしたい」気持ちの出し方が、くっつくしかない
- 距離の“基準”を、まだ教わっていない
- くっつく感覚そのものが、心地いい(感覚の特性)
どれか1つに決めなくて大丈夫です。重なっていることも、よくあります。
そして、これはあなたの育て方のせいではありません。「見えないものを、まだ教わっていない」だけ。だから、これから見えるようにしていけばいいんです。
誰にでも抱きつく子への教え方5つ


ここから具体的に。相談の現場で実際に使っている順番でお伝えします。
ステップ1|まず、気持ちを言葉にして受け止める
いきなり「距離を教える」の前に、ワンクッション。くっついてきたら、こう返します。
「くっつきたかったんだね」
「仲良くしたかったんだね」
「もう〇年生でしょ」と突き放さない。気持ちは、いったん受け止める。ここを飛ばすと、子どもは“気持ちごと否定された”と感じて、かえって反発することがあります。
ステップ2|見えない距離を、“見える”ようにする
いよいよ距離です。ポイントは、その場で消える「声」ではなく、体で覚えて、文字で残すこと。基準はシンプルに1つだけ。
「腕をのばして、当たらないくらい」(およそ腕一本分)
実際に腕をのばして、くるっと一周してもらう。その円の中に入るのは、家族だけ。そして「うでいっぽんぶん」と紙に書いて、目に入るところに貼っておきます。声はその場で消えますが、文字は残ります。
ここで、もう1つ大切な土台を。体には、人に見せない・触らせない場所があります。水着で隠れるところです。
「水着で隠れるところは、プライベートゾーン」
「自分だけの、大事な場所だよ」
自分の体も、相手の体も、同じように大事。この“お互いさま”の感覚が、距離を守る土台になります。
ステップ3|「ダメ」で終わらせず、代わりを用意する
ここが、いちばんの分かれ道です。「触っちゃダメ」だけで止めると、うれしい気持ちの行き場がなくなります。行き場をなくすのではなく、別の出口をつくる。
❌ 「抱きつくのはダメ」だけ
✔ うれしいときは「ハイタッチ」にしよう
✔ 仲良しの合図は「にこっと手をふる」
「気持ちはOK。やり方をこっちに変えよう」。この形にすると、子どもも受け取りやすくなります。
ここで、私は一度失敗しました


以前、支援学級で担任していたときの話です。正直にお話しします。昔の私は、「ダメ」で止めることばかりしていました。
「触らない」「近づかない」と、禁止だけを増やしていた時期があります。
結果は、逆でした。止めれば止めるほど、その子はよけいに近づこうとした。気持ちの出口を、全部ふさいでしまっていたんです。
「ダメ」を1つ言うなら、「こうしよう」を1つ渡す。これを覚えてから、子どもの様子が変わっていきました。
ステップ4|場面ごとに、パターンを見せる
距離は、いつも同じではありません。
- 並ぶとき
- 整列するとき
- 友達とゲームするとき
- 電車やエレベーターの中
「近くていい場面」も、ちゃんとあります。だから、場面ごとにカードを作ります。
「ならぶとき」「ゲームのとき」と短く書いて、1枚ずつ見せていく。
イラストを添えられるならなお良いですが、文字だけでも十分です。臨機応変は、いきなりはできません。
でも、パターンが増えれば、少しずつ選べるようになります。
ステップ5|同じ言葉・同じカードを、くり返す
新しいルールを、毎回ちがう言い方で言わない。
- 使う言葉を、1つに決める
- 使うカードを、1枚に決める
- 家でも、それを見せながら声をかける
くり返しは、いちばん地味で、いちばん効きます。
家庭だけでがんばらない|学校にお願いできること


ここまで家でできることを書きましたが、距離感は、まわりと一緒に育つものです。家と学校で、使う言葉がバラバラだと、子どもは混乱します。だから、担任の先生に「同じもの」を共有してもらう。そのまま使える、切り出しの例文です。
「家で、人との距離を“うでいっぽんぶん”という言葉で教えています。学校でも同じ言葉で声をかけていただけると、本人が混乱しないので助かります。よければ、家で使っているカードをお渡しします」
「うちの子が悪いので、すみません」ではなく、「同じ方向でお願いしたい」という伝え方でいいんです。
誰にでも抱きつく・距離感が近いときのQ&A


- 何度教えても、その場ではできるのに、次の日には忘れます。うちの子だけですか?
-
いいえ、それがふつうです。距離は「1回で入る」ものではなく、くり返して少しずつ身につきます。忘れても叱らず、同じカード・同じ言葉でもう一度。回数がたまるほど、間隔があいていきます。
- スキンシップを全部やめさせたほうがいいですか?
-
全部はやめさせなくて大丈夫です。禁止だけを増やすと、気持ちの出口がなくなって逆効果になることがあります。「うれしいときはハイタッチ」など、別の出し方に置きかえていくのがおすすめです。
- 「距離が近い=発達障害」ということですか?
-
そうとは限りません。距離が近い理由はいくつもあり、性格や年齢によることもあります。診断名で決めつけず、まずは「教わっていないだけかも」という前提で関わってみてください。
- 年上の子や、特定の子に近づきたがります。どうすれば?
-
まず「その子と仲良くなりたいんだね」と気持ちを受け止めます。そのうえで、近づく以外の関わり方(手をふる・話しかける言葉)を一緒に決めておくと、本人も動きやすくなります。心配が続くときは、専門家や学校に早めに相談を。
誰にでも抱きつく・距離感が近いときのまとめ


- 「離れて」だけでは伝わらない。距離は“見える形”にする
- 基準は「腕一本分」。体で覚えて、短い言葉で書いて残す
- 「ダメ」で止めず、別の出し方(ハイタッチなど)を渡す
- 家と学校で、同じ言葉・同じカードを使う
くっつきたい気持ちは、悪いものではありません。出し方を増やしていくだけ。それは、この子自身を守る練習でもあります。
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記事を読んでも「うちの子の場合はどうなんだろう」が残ることがあります。それは当然で、記事に書けるのは一般的な見方までだからです。
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