「ちゃんと見てるのに…伝わらない」
若い頃、私はこの言葉にずっと苦しんでいました。
つきっきりにならざるを得ない子がいて、他の子には目が届かない。
でも、保護者からは「うちの子が見られてない」と感じられてしまう。
支援って、がんばってるつもりでも“届かないことがある”んですよね。
この記事では、あの頃の自分に教えてあげたかった
「伝わる支援」のための3つの工夫をまとめました。
少しでも、今悩んでる先生の助けになりますように。
【1】支援しても伝わらないのは、あなたのせいじゃない

まず大前提として──
支援が伝わらない瞬間は、どの先生にもあります。
特別支援の教室では、以下のような状況が一度に起こりえます。
- 感情が爆発して泣き出す子
- 飛び出そうとする子
- じっと座れず動き回る子
- 過敏でパニックになりかけている子
これらが“同時進行”で起きる現実の中で、
100%すべての子に完璧な対応をするのは不可能です。
できなかったんじゃない。「優先した」だけ。
支援には「瞬間ごとの判断」があり、
あえて一人に集中することも“専門的判断”です。
【2】「見てもらえた感覚」を生むには?|伝わる支援の3ステップ

支援しているのに伝わらない──
そのギャップを埋めるために、私が取り入れてきた実践を紹介します。
STEP1|“名前を呼ぶ+短い声かけ”で存在承認
例:
- 「〇〇くん、◇◇してるのちゃんと見てるよ」
- 「さっき静かにしてたね、ありがとう」
- 「後で一緒にやろうね」
✅ 目的:その子が“気にかけられている”と感じること
☑ 無理に長く関わらなくてOK
☑ 目を合わせて、声を届けるだけで変わります
✔️STEP2|“見えていなかった時間”をあとでフォロー
例:
- 「さっきバタバタしてごめんね、〇〇くんが◇◇してるの気づいてたよ」
- 「先生、〇〇くんががんばってたの、聞いたよ!」
✅ 時間差の関心も“支援の一部”です
☑ 子どもは「あとで気づいてもらえた」で満足することが多い
☑ 信頼は“遅れて届ける”こともできます
✔️STEP3|保護者、面談にも「先生は全体を見ている」と印象づける
例:
- 「今日は〇〇さんだけでなく、〇〇くんにもこういうことがあって…」
- 「実はお子さんがそのとき、空気を読んでくれて助かりました」
✅ 保護者の不安=“うちの子、見てもらえてる?”に答える
☑ 自分の子の話+周囲の状況を伝えることで、納得感が生まれます
【3】1人で抱え込まず、支援した内容を“言語化”しよう

若い頃の私は、こんな風に思っていました。
- 「保護者に言い訳してると思われたくない」
- 「できてないって認めるのは恥ずかしい」
- 「誰にも頼れないのが“できる先生”」
でも、いま伝えたいのはこれです👇
説明することは、責任放棄じゃない。信頼をつなぐ手段です。
保護者にも同僚にも、
「支援の背景や優先順位」を短く・具体的に説明することは、
むしろプロとしての信頼を高めます。
よくある誤解と、支援者の再定義
誤解 | 本当は… |
---|---|
全部の子を平等に見ないといけない | 優先順位をつけるのはプロの判断 |
見ていても伝わらないのは自分のせい | 見せ方・伝え方で印象は変えられる |
一人でやり切るのがいい先生 | 支援はチームでやるもの |
【保存版】見てても、伝わらない──特別支援学級担任として悩んだ私の3つの工夫のQ &A

私自身、昔は「こんなとき、どうしたらいいの?」と毎日のように迷っていました。
そのたびに、先輩や子どもたちから“答えじゃなく、ヒント”をもらってきた気がします。
最後に、私がよく聞かれる質問と、あの頃の自分に伝えたい答えをいくつかご紹介します。
Q1. 全員をちゃんと見られないことに、やっぱり罪悪感があります…
A. その気持ちがある時点で、あなたは“見ようとしてる先生”です。
大切なのは「どう優先したか」や「あとからどう関わるか」。
“瞬間”の判断が必要な現場だからこそ、自分を責めすぎないことが支援の継続につながります。
Q2. 他の保護者から「うちの子を見てもらえてない」と言われたらどうしたら?
A. 支援の背景を“短く、具体的に”言語化するのがカギです。
例:「今日は感覚過敏のある子がパニックを起こしてしまい、その子の安全確保が最優先でした。でも〇〇さんが待ってくれたのは本当に助かりました」
→ “全体を見ている印象”と“我が子への感謝”が同時に伝わります。
Q3. 時間が足りなくて、フォローの声かけすら難しいときは?
A. 小さな「しるし」でも十分伝わります。
✅ 目を合わせて軽くうなずく
✅ 次の日にひと言伝える
✅ ノートに一言メッセージを書く
→ 支援は“タイムラグがあっても届く”という安心感が、子どもにも先生自身にも大事です。
Q4. そもそも“伝わる支援”ってどう測ればいいんですか?
A. 子どもが「気にされてる」「わかってくれてる」と思えているか、が1つの基準です。
言葉・視線・行動・記録のどれかが“その子の特性に合っているか”を見直すだけで、大きく変わります。
Q5. 保護者との信頼関係がまだ築けてないんですが…
A. 実は“見てます”の一言だけでも関係性は変わります。
たとえば:「いつも朝、〇〇さんが自分で上履きを履いてるのを見てますよ」
→ 具体的な行動+肯定で、信頼の種になります。
【保存版】見てても、伝わらない──特別支援学級担任として悩んだ私の3つの工夫のまとめ

最後にもう一度。
支援しているつもりでも、伝わらない日がある。
でもそれは、あなたが怠けてるからじゃない。
むしろ、その葛藤こそが“向き合っている証”です。
そうやって届ける支援が、
今日のあなたの子どもとの関係、保護者との関係を変えていくはずです。
保存版:実践のためのポイントまとめ
- 名前を呼ぶ声かけは“存在を認める魔法”
- 時間差フォローは“信頼を貯金する方法”
- 保護者にも「全体を見る視点」を伝える
- 支援を“説明”することで誤解を防げる
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支援が「伝わらない」と感じていたあの頃の私へ。
同じようにがんばってる先生に、届いてほしい。共感した方、保存&シェアで広げてもらえると嬉しいです。
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