特別支援学級の担任をしていると、「自立活動って具体的に何をすればいいの?」と悩む場面が必ず出てきます。
教科とは違って目に見えにくく、実践の仕方が分かりにくい「自立活動」──でも実は、子どもが日常生活で安心して過ごし、自分らしく動ける力を育てる大切な時間です。
この記事では、自立活動の 目的 や ねらい をやさしく整理し、初任者でもすぐに学校現場で取り入れられる 具体例と実践例 を豊富に紹介します。
「何から始めればいい?」と立ち止まっている先生こそ、一度読んでみてください。
子どもが安心して自分の力を伸ばしていくヒントが、きっと見つかります。
ぷーた先生自立活動の授業に悩んだら👇
「特別支援学級の担任になって」と言われたら読む本:自立活動編





自立活動の目的とは?6区分27項目もやさしく整理


自立活動は、子どもが日常生活をよりスムーズに送るためのスキルを身につけることを目的としています。
- 生活リズムを整える
- 自分の気持ちを伝えられるようにする
- 友達との関わり方を学ぶ
- 環境に適応する力をつける
- 体を上手に動かす練習をする
- 自分に合ったコミュニケーション方法を見つける
ここからは、明日そのまま使えるアイデアを27個、8つの場面に分けて紹介します。どれも準備がほとんどいらないものばかりです。
自立活動の6区分27項目とは?
自立活動には、学習指導要領で決められた「6つの区分」があります。むずかしそうに見えますが、要するに子どもがつまずきやすい場面を6つに分けたものです。この記事で紹介する27の具体例も、すべてこの6区分のどこかに当てはまります。
- 健康の保持…生活リズムを整える、体調を言葉で伝える
- 心理的な安定…気持ちを切りかえる、不安なときの対処を知る
- 人間関係の形成…友達との関わり方、集団に参加する力
- 環境の把握…音や光に慣れる、見通しをもって動く
- 身体の動き…姿勢を保つ、手先を使う、体をつくる
- コミュニケーション…伝える、聞く、助けを求める
6区分の下には、さらに細かく27の項目があります。ただ、最初から全部を覚える必要はありません。「今日の活動はどの区分をねらっているか」が言えれば十分です。個別の指導計画を書くときも、ここがはっきりしていると手が止まりません。


朝の健康チェックで安心感を!


朝の会で健康チェックを取り入れることで、子どもたちが安心して1日を過ごせるようになります。
健康チェックのアイデア3つ
- 指差しカード:「元気」「まあまあ」「しんどい」から選ぶ
- 気持ちスケール:数字や色を選んで伝える
- ジェスチャー:うなずく・表情で伝える
無理に話させず、子どもが自分の気持ちを伝えやすい環境を作りましょう。


気持ちを伝える練習!


感情表現が苦手な子どもには、以下の方法を試してみましょう。
気持ちを伝える具体例3つ
- 気持ちカード:絵を見て選ぶ
- 手触りカード:「ふわふわ(楽しい)」「ザラザラ(怒り)」など感触で表現
- 音声ボタン:事前に録音した音声で伝える
「伝え方はひとつじゃない!」子どもに合った方法を選ぶことが大切です。
感情コントロールが苦手な子への「心理的な安定」の指導をさらに詳しく知りたい方は、感情コントロールが苦手な子への自立活動の授業で1週間分のメニュー例まで紹介しています。
あいさつが苦手でも大丈夫!


あいさつが難しい子どもには、以下の方法を取り入れるとスムーズにできます。
あいさつのアイデア3つ
- 手を振る:目を見なくてもできる!
- ハイタッチ:言葉がなくても伝わる!
- 音声ボタン:録音した「おはよう!」で簡単にあいさつ
相手との距離感を大切にしながら、自分に合った方法であいさつができるようにしましょう。
困ったときにどうする?


子どもが困ったときに適切にSOSを出せるよう、事前に伝え方を決めておきましょう。
困ったときに助けを求めるアイデア3つ
- 手をあげる:「助けてほしい」サイン
- カードを見せる:「困っている」「手伝ってほしい」
- 決めたジェスチャー:先生と約束した合図
「伝える手段」を事前に用意することで、子どもが安心して過ごせます。
リズム遊びで体を動かそう!


体を動かすことが苦手な子どもにも、リズム遊びを取り入れることで楽しく運動ができます。
体を動かすアイデア3つ
- 太鼓やタンバリンを叩く:音のリズムを体感
- 手を叩いてリズム遊び:先生の動きをまねる
- 音声ガイドを活用:「目や耳だけでなく、振動も使う」
音や振動を使ったリズム遊びで、自然と体を動かせる環境を作りましょう。
選ぶ力を育てる!


子どもが自分の意思を伝える練習として、選択肢を提示する方法があります。
自分で選ぶ力を育てるアイデア3つ
- 「これがしたい? or したくない?」
- 2択カードを活用する
- 指差しや目線での選択もOK
「何がしたい?」ではなく「どっちがいい?」と聞くことで、子どもが答えやすくなります。
環境の変化に強くなる!


学校内の環境に慣れることで、子どもたちの不安が減ります。
学校の環境に慣れる具体例3つ
- 触れる地図を使う:フェルトや立体マップで確認
- 実際に歩いて探検:トイレ・保健室・職員室を見に行く
- クイズ形式で学ぶ:「トイレはどこ?」と質問しながら探索
場所が分かると「安心感」が増え、行動しやすくなります。
自閉症・情緒障害の子どもが安心できるルール作り


環境を整えることで、不安を軽減し、落ち着いて過ごせるようになります。
安心して過ごせるようにするアイデア3つ
- ルーチンを決める:「毎日同じ流れで安心感UP」
- 視覚支援を活用:「予定表やチェックリストで見通しを持たせる」
- 急な変更は事前に伝える:「あと○分で終わるよ」とカウントダウン
予測できる環境を作ることが、子どもたちの安心につながります。
「特別支援学級の担任になって」と言われたら読む本:自立活動編


高学年になったら「自己理解」を育てる
低学年のうちは、その場で使える手立てを増やすことが中心になります。でも学年が上がると、少しずつ変わってきます。
高学年になると、子どもは自分の得意・不得意を自分で分かるようになります。「自分は音が苦手」「書くのに時間がかかる」と気づき始める時期です。
ここを支えるのも自立活動です。学習指導要領では「健康の保持」の中に「障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること」という項目があり、自分の特性を理解して、周りに働きかけて環境を整えていく力を育てる、とされています。
自己理解は「選ぶ力」につながる
自分の得意・不得意が分かってくると、子どもは自分で選べるようになります。
たとえば交流学級です。
- 図工は手先を使うのが苦手だから、交流には行かない
- 体育は得意だし好きだから、交流にたくさん行きたい
こうした選択が本人の口から出てくることがあります。
これはわがままではありません。自分のことが分かったうえで選んでいる、という状態です。ここまで来ると、大人が決めて連れて行くのとは、参加の質がまったく変わります。



「全部行く」か「全部行かない」ではなく、教科ごとに選べるようにしておくといいですよ


自己理解を育てるアイデア3つ
1.得意と不得意を紙に書き出す
頭の中だけで考えていると「自分はダメだ」に流れがちです。紙に書くと、できることもちゃんと目に見えます。不得意より先に、得意から書くのがコツです。
2.「こうしてもらえたら楽だった」を言葉にする
うまくいった場面を一緒に思い出して、何が助けになったのかを振り返ります。「先に予定を教えてもらえたとき」「静かな場所で休めたとき」など、本人の言葉で出てくると強いです。
3.助けの求め方を決めておく
2で出た言葉を、実際に人に伝える形にします。「今日は音が大きいので、廊下で少し休みます」のように、短い一文にしておくと使いやすくなります。
中学校に進むと、自分で伝える場面が増える
小学校では、担任が配慮をまとめて周りに伝えることができます。でも中学校は教科ごとに先生が変わります。本人が自分で伝える場面が確実に増えます。
だから小学校のうちに「自分はこれが苦手」「こうしてもらえると助かる」を言葉にしておく経験が、あとになって効いてきます。
「診断名を伝えるかどうか」を相談されたとき
保護者から「本人に伝えたほうがいいでしょうか」と相談されることがあります。
これは保護者が決めることです。
担任が判断したり、伝えるよう勧めたりするものではありません。
担任にできるのは、診断名を伝えるかどうかとは別に、その子が自分の得意・不得意を知り、助けを求められるようにしておくことです。
実際、子どもにとって役に立つのは「発達障害だから」という説明よりも、「自分は音が苦手」「書くのに時間がかかる」という具体のほうだと感じる場面が多くありました。診断名を知らなくても、自分の特性が分かっていれば選べるからです。
タイミングは子どもの実態によって大きく違います。焦らず、保護者と一緒に考えていきましょう。
中学校の特別支援学級での自立活動|実践例と小学校とのちがい
「小学校の自立活動と、中学校の自立活動は何がちがうんですか?」とよく聞かれます。ねらいそのものは同じです。ただ、中学校では自分のことを自分で伝える場面がぐっと増えます。
小学校では、先生が先回りして環境を整えてあげることが多いですよね。でも中学校は教科担任制です。関わる大人が一気に増えるので、同じ説明を何人にもする必要が出てきます。だからこそ、次のような実践例が役に立ちます。
- 朝の一言カードを続けて、「今日は少ししんどいです」と自分から言えるようにする
- 苦手な音や場面を本人の言葉でまとめた「わたしの取扱説明書」を一緒に作る
- 「もう一度お願いします」と言う練習を、教科の授業の場面で繰り返す
- 進路面談の前に、自分にできること・手伝ってほしいことを紙に書き出しておく
中学校でも、小学校でやってきた具体例がそのまま土台になります。目新しいことを足すより、小学校で身につけた伝え方を「ちがう大人にも使えるようにする」ほうが、実践例としてうまくいきます。
自立活動のネタが尽きたと感じたときは
一年もやっていると、「もうネタがない」と感じる時期が必ず来ます。私も何度もありました。そんなときは、新しい活動を探しに行くより、いま子どもがつまずいている場面を思い出してみてください。
給食のとき、着替えのとき、休み時間が終わるとき。うまくいかない場面が一つ見つかれば、そこが次の自立活動の事例になります。ネタは外から探すものではなく、教室の中にあります。
それでも迷ったら、この記事の27の具体例から一つ選んで、同じ活動を「場面だけ変えて」やってみてください。同じことを繰り返すのは手抜きではありません。子どもにとっては、繰り返しこそが力になります。
まとめ|特別支援学級の自立活動アイデア27と具体例


今回紹介したアイデアは、特別支援学級での自立活動にすぐに取り入れられるものばかりです。
✅ 朝の健康チェックで安心感UP
✅ 気持ちの伝え方をサポート
✅ あいさつの方法を選べるようにする
✅ 困ったときの助けの求め方を決める
✅ リズム遊びで楽しく運動
✅ 「どっちがいい?」で自分で選ぶ力を育てる
✅ 学校環境に慣れるための探検ゲーム
✅ ルーチンを決めて安心できる環境づくり
✅ 高学年は「自分の得意・不得意を知る」ところから
どれも簡単に実践できる方法なので、ぜひ試してみてください!
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